いる。
新聞では、一つの構造パターンだけが紹介されているが、NHKのサイ
エンスZEROでは、他の構造の違う堤防のすべてが津波によってどのように
破壊されたかとうメカニズムが詳しく説明されていた。
もちろん、堤防によって津波の被害が軽減された部分もあるので、堤防が
すべては無駄だったと言う判断は間違いだと思う。
しかし、長い年月と、巨大な費用を使って建設された大堤防が、あまりにも
もろく壊滅的な状態になったことには、被災地の人たちも驚いただろうが、
誰よりも設計を担当した人たちや、建設に関わった人たちが、もっとも驚いた
に違いない。その巨大な堤防に多くの人たちは信仰にも似たものを持って
いたようなのだから。
ここで、絶対に忘れてはならないことがある。人間は、自然には勝てないと
いうことだ。自然の驚異の前には、人間は非力だと言うことを、今一度確認
すで気だと思う。
台風を止めることもできないし、巨大竜巻を止めることも不可能だ。大雨を
止めることもできないし、大波を止めることもできない。
石油や石炭は自然に燃えることがあったから、それを人間が利用すること
を考えついた。それは自然現象の続きでもある。しかし、原発は違う。
ウラン鉱は自然発火したりはしない。核分裂は地球上で自然に起こったりしない。
自然の中で最も恐ろしい核分裂と言うものを、不自然な形で人間が利用
しようとして、今回の事故につながった。
津波被害地の復興には、自然の猛威には勝てないことを教訓に、子孫
たちに再び脅威を与えない計画を考えてもらいたい。そして、神の火を弄ぶ
ことに怖れを抱いてやめるべきではないだろうか。
自然に逆らうことは、自ら滅びることになる。そう言う意味で、超高層ビルは
自然に逆らったものではないだろうかと案じている。いつの日か、必ず
自然に仕返しされるだろう。