中原武志のブログ

生きていくうえでの様々なことを取り上げます

随筆自伝(175)私を守ってくれたのはだれなのか

JA-07-03  過去から学ぼう

JAニュース紙2003年7月号原稿

  《 大量破壊兵器は見つからず 

 イラクに強引な戦争を仕掛け、打ちのめしてみたものの大義名分だった「大量破壊兵器」はどこを探しても見つからず、国連査察団長は「あるはずがないだろう」と発言し、米英側も内心それを認めながらも未だに言い逃れを図っている。偽文書まで利用して戦争を仕掛けた目的は何か。

パウエル国務長官が国連演説の際に公表し、ブッシュが今年の年頭教書で取り上げた「イラクニジェールから相当量の天然ウランを購入の疑い」という英国が入手したとされる文書は偽物だったと言う話は5月号に書いたが、6月12日つけ米ワシントンポスト紙は米高官の話として「この文書を入手してから、CIAはニジェールに大使クラスを派遣して独自の調査を行った結果、そういう事実がない事を確認していたが、それを政府、議会に知らせなかった」と報じた。

 CIAに責任を負わせたようにも見えるし、事実CIAの名においてこれまでこのような事実隠しが何度も行われている。

 今月号から始まる「現在を直視し、過去から学ぼう」シリーズはこれから1年間ぐらいを目途に書く予定でいるが、その多くは「大東亜戦争」はなぜ起こったのだろうか。全て日本が悪くて謝らなければならないのだろうか。事実を追求していくと多くの事が見えてきた。どうしてこれまで多くの日本人はこういう事実を知らないで来たのか。それらは隠されていたのだろうか。

調べていくと、隠されたものもあるが日本人自身が調べようとを掘り下げれば必ず現在と深いつながりがあり、現在起こりつつあることも読み取る事ができるだろう。

 

 アメリカがイラクに攻撃を仕掛けたために、今年のアカデミー賞授賞式はどうなる事かと関係者を慌てさせたが、予定通りロスのコダック・シアターで開催された。物々しい警備のなか関係者も参加者も緊張気味であった。そのためか昨年もノミネートされながらオスカーを逃し、今年見事に「めぐりあう時間たち」で主演女優賞を射止めたオーストラリア女優の二コル・キッドマンは、遠慮がちに「こんな時期にアカデミー賞なんて思う人もいるでしょが、こんな時だからこそ芸術が大切なのです」と言って拍手を受けていた。

 イラク戦争のために長編アニメ部門でオスカーを受賞した「千と千尋の神隠し」には関係者は出席しなかった。

 今年のアカデミー賞授賞式で最も印象的だったのはアメリカの銃社会を厳しく批判した「ボーリング・フォー・コロンバイン」でカンヌ映画祭55周年記念特別賞を受賞し、今回のアカデミー賞でも「長編ドキュメンタリー賞」を受賞したマイケル・ムーア監督だった。「ブッシュよ恥を知れ!」と堂々とスピーチの中でブッシュ批判をやってのけたのである。時節柄ブーイングも起こったが拍手も少なくなかった。記者会見でも厳しい質問が出ていたし、国民の圧倒的支持率を得ていたイラク攻撃だっただけにアメリカ国内でのムーア批判は鋭かった。しかし彼は「こういう事が言えるのもアメリカの素晴らしいところなのではないか」と批判をかわしたものだ。

 今回は、そのムーアが書いた「アホで間抜けなアメリカ白人」を取り上げて書いてみたい。彼独特の視線で見ているだけに話が面白い。

 9・11のあと彼は長らくロスに足止めになりニューヨークに行く事が出来なかった。航空機の飛行が禁止されていたからである。ようやく9月22日になってニューヨークの飛び立とうとしたら機内持込禁止品目の紙を渡された。その中には「銃・ナイフ・小型カッターナイフ・爪切り・編み棒・鈎針・縫い針・棍棒・コルク抜き・レターナイフ・ドライアイスなどなど沢山書かれていた。

 ところが彼は妙な事に気がついた。X戦検査機のところを通過するためにプラスチックトレイにキーなどを入れて差し出すが、その際にガスライター、マッチなどは没収されていない事に気がついたのだ。何かがおかしい・・・と。爪切りでハイジャックが成功するとは思えないし、編み棒程度でも成功はおぼつかないだろうが、ガスライターやマッチで機内に火をつければどうなるのかと彼は思った。

 それからちょうど3ヶ月目の12月22日にパリ発ボストン行きのアメリカン航空機に乗ったリチャード・リードと言う男がマッチで自分の靴に火をつけようとしていて取り押さえられた。なんと彼の靴にはプラスチック爆弾がし仕掛けられていてもう少しで点火してしまうところだったのである。

 彼は思った。今度は当然に事ながらライターやマッチの機内持込は禁止になるだろうと。

しかし、こういう多くの乗客を今まさに空中大爆発させようとした犯人が居たと言うのにあいも変わらずライターやマッチの機内持込は許された。

 彼はどういうわけなのか興味を持って調べた。アメリカ全土だけでなく、ほとんど全ての航空機内では喫煙は許されていないはずであり、ライター、マッチは機内では不要のはずだからである。

 彼は調べて驚いた。アメリカ連邦航空局(FAA)が機内持込み禁止リストを作成してホワイトハウスに提出した中にはライターもマッチも掲載されていたのである。しかし、ホワイトハウスはその書類の中からライターとマッチを削除してしまったのである。実際にマッチを使った凶悪犯が発生した後もそれを変えようとしなかった。

 どうしてそのような事になったか・・答えはこうである。タバコ業界がブッシュに圧力をかけライターとマッチを禁止項目から外したということなのだ。タバコ愛好家は機内で吸えなかっただけに、飛行機から降りると直ぐにも吸いたくなるので、そのために没収をしない事に決めた」と言うことである。

 彼は言う。ブッシュの言うテロ防止と言う言葉は嘘ではないかと。小さな記事。小さな出来事の中に真実が隠されていることが多い。ライターとマッチと言う小さな問題ではあるけれど、この中にブッシュの本質が隠されているのではないかと。

 彼は、ブッシュ政権に疑問を抱きさまざまな事を調べ上げた。読者もご存知の大統領選挙におけるフロリダ州での納得の行かない結末をである。 

 しかし、彼が調べた内容は、日本の多くの人が知っているような、マスコミが盛んに流した投票マシーンの欠陥とかそういう問題ではなく、もっと重大な陰謀が隠されていたのである。字数があと少しなので詳しく書けないが、大統領選挙1年前から民主党に偏りがちな黒人票を奪う目的で多くの黒人を投票者リストから抹殺したのである。その方法は陰湿でまさかと思われるほどのものであるがここでは割愛しよう。

 なんとマディソン郡の選挙監督官だったリンダ・ハウエルも選挙権を剥奪され、州当局に掛け合って問題の是正を図ったが拒否された。

 ここで大きな問題は、ブッシュは国民から選ばれて大統領になったのではなく、陰謀を使って(最高裁判所の判定もそうだったことはご存知のはず)大統領と言う職を乗っ取ったということである。チェイニーやラムズフェルドなどパパ・ブッシュの手のものたちによって息子ブッシュは操られている。ネオコンと呼ばれる人たちによってアメリカはあらぬ方角に進もうとしている。私達はこれを直視しながら過去ではどうだったのかも見ていきたい。もしかして、これまでにも同じような事が起こっていたのだろうか?民主主義アメリカは欺瞞の国なのだろうか。これらは一つ一つ事実を見ていかないと見えて来ないだろう。

 とても面倒な作業ではあるけれど、コツコツと調べ上げていこうと思っている。

 どうしてこういう面倒な事をしようと思ったのだろうか。1995年の終戦五十周年に1ヶ月間以上にわたって各メディアによって「日本叩き」とも思えるキャンペーンがこの豪州で行われたからである。そして今もアンザックデー前後には必ず陰険で偏った放送が行われている。終戦60周年の2005年には、同じようなキャンペーンが行われるだろう。それまでに多くの人たちに事実を正しく認識し、日本人としての誇りを取り戻していただきたいと切望している。