中原武志のブログ

生きていくうえでの様々なことを取り上げます

随筆自伝(139)私を守ってくれたのはだれなのか

  《ブローホールでは、驚いて逃げ惑う》

 事前にその現象をよく知っている人が、タイミングよく客を連れて行くと、その感動が数倍にもなるだろうと思うが、ショックに弱い人なら発作を起こしかねないとも思う。

「ブローホール」という案内板を見て、道路際に車をとめて海の岩場に下っていくのだが、その細い道に突然1メートルもあろうかというトカゲが飛び出してきた時には一同驚いた。豪州にはいろんな動物がいるとは思っていたが、一瞬ワニかと思える大きさだったのでドキッとする。大きなトカゲは、なにごともなかったように通り過ぎていった。

  坂道を降りていくと、かなりの広さの平らな岩場があった。私たちのだれもが何の予備知識も持たないで岩場の上を歩いていた。

岩に穴が開いていたのでそこから海を覗(のぞ)いていたところ突然に猛烈な轟音(ごうおん)とともに潮が吹き出してきたので、4人は四方八方という感じで岩場の上を逃げたものだ。

ある間隔でこの現象が起こるらしい。だが、その轟音はすさまじいものだった。何が起こったのか4人とも分からなかったので一目散で逃げた。何も知らない人をここに案内してあの経験をさせると忘れられない思い出になるのではないだろうか。 とっさのことだったので、4人は蜘蛛の子を散らしたようにそれぞれが、別の方向に逃げたのは印象的だ。

《素敵な結婚式》

 アルバニー滞在中、私が最も感動したのは、海沿いのホテルの外で行われていた結婚式だった。ホテルの前に公園があり、その公園のパティオの周りに50~60人の人々が群れているので、何事かと近づいてみると結婚式の最中だった。スコットランドの楽器(バグパイプ)を奏でる中、厳かに式が行われていた。

強風が吹いていたが、新婦の長い話にも参加者一同じっと耳を傾けていた。日本では芸能人の真似(まね)をしたような派手な演出の結婚式が増えているが、それと比べてなんと心温まる結婚式だろうかと感動した。

派手な飾りつけもない。新郎新婦が何かに乗って登場などというような演出もない。参加者は全員が立っている。バグパイプに出身地アイルランドへの思いが込められている感じがした。厳かで楽しそうな結婚式を遠くから見守らせていただいた。