中原武志のブログ

生きていくうえでの様々なことを取り上げます

「寅さん」は自活していたから偉いのだ

 「男はつらいよ」のフーテンの寅さん。実はこういうタイプの男は多くの家庭に
いるはずなのだ。 人は生まれてから何もかも順調に育つ人は意外と少ない。
何らかの問題を持ちながらも、育つにしたがって成長を重ねていくものなのだ。
 いかし、今の社会にあっては「寅さん」風の生き方ができない。 寅さんは
全国を回ってヤシ稼業をしていたが、今の時代はそういう生き方を認めない。
 親が社会的に活躍している場合はなおさらだろう。
私の高校に入ってきた生徒の母親がこぼしていたことがある。(35年も前の
ことだからいいだろう) 父親の兄弟や親せき筋がみんな東大出ばかりで、私も
肩身の狭い思いをしていると。 銀行家の息子だった。2校の受験校を落ちて
私の学校に来た。 彼は表立った非行歴もなくおとなしいタイプの生徒だったが、
校舎へのいたずらをしたのは彼が最初だったので記憶に残っている。
 当時90校以上あった神戸市と周辺市の中学校の番長とその取り巻きが集
まっていたすさまじいばかりの生徒たちだったが、意外や意外・・校舎を痛めたり
落書きするなどしなかった。 それが私の誇りでもあった。 私は「校則」で縛る
ことはしなかった。「他人の権利を侵すな」というただ一つだけだった。教師たちが
生徒指導上、どうしても校則を作ってくれと泣きついてきても「教師が変わることが
必要だ」と突っぱねた。
 そういう中で、人知れずに教室の天井にいくつも穴をあけたのが、銀行家の
息子だった。 やんちゃなタイプでない、内にこもった不満を持つタイプの生徒
だった。 彼と十分に個人的に話し合った。もちろん処罰などはしなかった。
 家庭内暴力で中学校にほとんどいっていなかった生徒もいた。母親に聞くと
生徒たちが登校する時間帯と下校してくる時間帯に「荒れる」という。
 お母さんが、順調に登校が続く息子に感激して私に涙を流しながら感謝の
言葉をくださった。 「寅さん」は姿かたちは違っても・・どこにもいっぱいいる。
寅さんは、自活できたのが良かった。もしあなたの家庭に寅さんがいても容認
出来るだろうか?? 寅さんを家に籠らせる結果を作りはしないだろうか?
 人は発達する過程は人それぞれなのだ。だれもが文科省が作ったカリキュラム
通りに認知して行けるかどうかわからない。どんなに認知力が優れていても
「非認知能力」が劣っている人もいる。 非認知能力を高めれれば認知能力の
高い人を超えることだってできる・・・と言うことも、知ってもらいたい。