中原武志のブログ

生きていくうえでの様々なことを取り上げます

私流生き方(105)

(105)
謝恩会でのこと
 
井戸君の思い出は数多い。教室でM先生に反発してクラス全員を
巻き込んでの闘争や授業放棄など入学から半年間は徹底して反抗
心を示していた。そのことから数年経った卒業式後の謝恩会の時
の話を書いておきましょう。
一期生の卒業式が終わって、謝恩会は鍋を囲んでの食事でした。
若者たちはお腹がすいていたのでしょう。半煮えのものまでガツ
ガツ食べてしまいました。その時、井戸君がスッと立ち、私たち
教師に向かって
「先生、ありがとうございました。僕たちは、この学校で大切な
ことを学びました。僕たちのために先生がどれほど頑張ってくれ
たか知っています。人のために一生懸命働くということを見せて
もらいました。僕たちは、あまり勉強もしないで先生を困らせた
けど、これからは社会に出て勉強を続けます。本当にありがとう
ございました。」
と、挨拶したのです。
先生たちは、みんな泣きだしました。一年生のとき、黒木君とト
ラブルを起こしたM先生は、大学時代アメフトをやっていた、いか
つい先生ですが、涙で顔がクシャクシャになりました。M先生は、
恥ずかしいのでトイレに行きました。トイレから帰ろうとしたと
ころ、廊下で黒木君が立って待っていました。黒木君は、M先生
の前に直立不動の姿で立ち、「M先生、お世話になりました」
と深々と頭を下げたそうです。一年生の時、黒木君の胸ぐらをつ
かんだのは松田先生だったんです。二人の間には四年間ずっと
確執がありました。その黒木君が、廊下で、M先生に礼を言っ
たのです。M先生は、戻ってきてこの話をして、また泣き出し
ました。生徒がかわるがわる立って、先生たちにお礼を言ったの
です。こんなすばらしい謝恩会を持てたことは、私の無上の宝です。