中原武志のブログ

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私流生き方(89)書評など

日刊スポーツ<書評欄>(本の写真紹介)1991年1二月7日
教育の原点をもとめて」
  題名は堅くて、とっつきにくいが、内容は一気に読んでしまえるほど
,迫力に富んでいる。副題に「神戸暁星学園高等科の実践記録」とある
ように、著者は同行の創立者で、現在は名誉校長の中原武志氏。
 学習不振や、身体,情緒などの障害で中学校から高校への道を閉ざさ
れた生徒達のための学校を、どういう思いで設立し、どのように運営
してきたかが、ほとばしるような情熱で書かれている。
「十五歳の問題児」といわれ,俗に“おちこぼれ”といわれる生徒達を
「裁くことなく、善と可能性を信じる」ことで、むしろ生徒によって
教師が教育されたことなどを、さまざまな具体例で語っている。
七年前に十八人で出発した同校が、いまでは数百人の在校生をかかえ、
今でも数多くの問題を繰り返しながらも、同氏は「送り出した生徒を
見てください」と大声で叫んでいる。
 
毎日新聞  書評欄  (本の写真入で紹介)1992年5月13日
「教育の原点をもとめて」
(大人の側に問題あり・神戸暁星学園の実践記録)
 
「高校に進学できなかった子供たちに教育の場を」と1987年に
「神戸暁星学園高等科」を設立した著者が、同学園の実践記録を
綴った。
同学園は、学校教育法上では「技能教育のための施設」だが、通信
高校と連携し高校卒業資格を取得できる。
著者は、高校に進学できない子供たちが「落ちこぼれ」といて選別
される現状を問題視。資金難と闘いながら、その救済施設づくりを
目指したという。
家庭の事情から高校進学の道を絶たれたが、祖父母の「しつけ」が自立
の支えになったと、と自らの体験を紹介。教育とは、子供を変えるので
はなく、その成長を支えるのだという教育理念を展開する
「問題のある子供は一人もいない、そのように考えるのは、大人の側に問題があるのだ」と解き、現行の学校教育制度に疑問を投げかけている。
 
関連記事
朝日新聞 1992年8月 (生徒の人命救助が紙面を飾った)
「おれは自分に負けていた」(人命救う心に嬉しい就職内定)<明石のツッパリ君>
 
「事故があったのは41日の昼過ぎだった。JR 垂水駅 で友人を
待っていた俊之君(18歳)はホームの人だかりに何かと思って近
づいた。
 線路をのぞくきこむと、おじいさんが頭から血を流して倒れている。
すぐさま飛び降り、ホームに抱え上げた。直後に電車が入ってきた。
脱色した“金髪”耳にはピアスをはめた格好に、二十人ほどいた乗客
らは「何でこんな子が・・・・?」という目だった。
千住俊之君(明石市二見町)は幼い頃から、ぜんそくの発作とアトピー
性皮膚炎に悩まされていた。入退院の繰り返し、勉強は遅れた。高校
もようやく合格したのが神戸にある私立校。点数至上主義の受験教育
から弾き飛ばされた生徒や、不登校児を積極的にうけいれている。
法的には専修学校と同じだが、通信高校との連携で高校資格が取れる。
学校のアルバイト奨励の方針もあって、俊之君は二0種類ものバイトを
経験。自由な校風の中で体力と同時に自信も養った。
そんな俊之君に先月嬉しい知らせが届いた。横浜の大手自動車メーカ
ーからの就職内定通知だ。
「病気や受験で辛い思いをした分、ちょっとは人の気持ちが分かるよう
になったんかな。あの時も迷わんかった」
いまの俊之君に「自分に負けていた」という以前の面影はない。
おじいさんを助けたことにも気負いはない。
「おれは当たり前のことをしただけや。それでかまへんや」
 
布川清司氏が神戸暁星学園の学校案内に自主的に寄せてくださった一文
 
「アミチスに「愛の手紙」という少年小説があるが、まさにその名は
神戸暁星学園に値するのではないか。日本広しといえども、これほどに
本当の教育を実践している学校はそうないのではないか。教育に体罰
必要だと信じて大人は少なくない。この学校は、高校進学の時期に前途
を絶たれた子供たちに、チャンスを与えるためにつくられたのだが、
世間からは体罰なしにはとても収拾がつかないのではないかと思われ
てきた。しかしは、創立者は、冷凍された種をとかして発芽させる
のは「愛」だけだと信じて、実践し、体罰に訴えなくても立派に教育で
きることを証明した。
 今年も夏までに、他の高校で理不尽な処分や冷たい仕打ちに絶望した
生徒が五人も転校してきたという。「ここは先生が違うから君でも充分
やっていけるよ」という神戸暁星学園に通っている友人の言葉に希望を
託しながら。
 確かにこの学校は既成の学校とは違う。まず先生方の情熱が違う。
教師と子供が「愛」で結ばれている。
 そこで私は自信をもって若い中学生諸君に、特にこれまで学校に
満たされなかった諸君に、神戸暁星学園への入学をすすめたい。神戸
暁星学園が必ずや君たちのこれまでの不満に応えてくれるであろうこ
とを信じて疑わないから。