中原武志のブログ

生きていくうえでの様々なことを取り上げます

がん患者の弱さを再発見

 今日開催した「がんサロン」の第2部の「輪になって話そう」という
コーナーに、終了後に私ががん相談を受ける予定にしていた女性が
参加したところから、ちょっとした波乱があった。
「がんは治る」「食事療法でも治る」「がんが治った実例をドクターたちが
書いている」などなどの発言に、参加者のがん患者たちは一瞬振り向いた。
治りたいという願望が強いがん患者たちには、この手の話に弱い傾向がある。
だからこそ、とんでもない本が売れる。この本とは近藤誠先生のことではない。
近藤先生の本にかかれていることに私は80%以上賛成している。
 がんになってから食事療法をしてみても仕方がない。がんにならないように
食事に気を配ることは、とても大切なことなのだ。ゲルマン療法で、私の知り合いが
どれほど体力を落とし、あっという間に亡くなっていったかを知っている。
 ところが、ドクターと名乗りながらたいした実績もない人が無責任な本を出して
いるケースが目立つ。「この食事法でがんは100%治る」などという無責任な
本まで出されている。医学博士の肩書だが医療を一度もやったことがない医学博士
が書いたものだ。医学博士の中には、臨床医療を一度もやったことがない人が
多いということもあまり知られていない。
彼女も「ドクターが、ドクターが」という。ドクターを信用しているのだ。どんなドクター
なのかも知らないで、ドクターという称号を信じきっているこんな人が多いのも
事実なのだ。
 第2部が終わり、彼女と二人で向き合って、彼女のご兄弟のがんについて相談を
受ける。話していて、彼女が「がん」についてほとんど無知なのがわかる。
こんなに無知な人の言葉にほんの2、3人ながらも動揺したことにがん患者の
弱さが見て取れた。
弱いからこそ、高額なサプリメントを買わされたりする。月に数万円から10万円も
つぎ込む人もいる。医療費よりたくさん使っている人もいるらしい。
がんに無知な人ほど、無責任なことを平気で言う。その無責任な言葉を見破れない
がん患者がいるのが悲しい。自分ががん患者なら、そんな無責任な言葉を
見破るだけの「心」を持っていてほしいと願っている。
 がんを知らない人は、騙そうと思っていうのではなく、単に無知で言っているに
すぎない場合が多い。だからこそ、相手が無知かどうかを見破るだけのものを
自分が持っていないと騙されるし、自分が動揺することになる。
がん患者は、動揺があるとどんどん深みに入ってしまうから気を付けないと
恐ろしい暗闇に入ってしま恐れがある。
 がんは「己の不安と戦う」ことが何よりも求められる病気でもある。
 彼女から受けた、兄弟のがん相談の内容についてはここに書けないが、
医師から提案された治療方針のほかに二つの(細かく言えば三つの)選択肢が
あることをお話しさせていただいた。
がんの場合、患者本人ではない家族が患者を振り回す傾向が大きいだけに
家族から相談された場合に、話の持って生きようがやりにくいのが実情だ。
この場合も、本人になら言えることも家族だけだと話しにくい。
大まかに4つの選択肢があるが、私ならそのうちの(ある一つ)を選ぶだろうと思うと
話しておいた。