中原武志のブログ

生きていくうえでの様々なことを取り上げます

WAGYUが和牛を追い詰めている

 オーストラリア産の「WAGYU」肉が、
  日本の高級和牛肉を追い詰めているという話を書きます。
 日本の「和牛」肉は、高級肉として海外でも有名である。
 私個人の好みを言えば、あまりにも脂肪の多過ぎる霜降りたっぷり
 というのはあまり好きではないが、やはり日本の牛肉はうまい。
 霜降り信仰が過ぎると、牛脂を注入するという偽装まで生んでしまう。
 日本の和牛高級牛肉が、世界の高級レストランでその地位を脅かされて
 いるというのをご存じだろうか。
 その肉の名は「WAGYU」というからややこしい。
 オーストラリア産の肉にWAGYUという名がつけられて、今やブランド肉となり
 世界の各地でその品質が認められ「WAGYU」という名のレストランまで登場
 している。
 では、何故にWAGYUなのかというと、和牛の精子を豪州に持ち込んで作り
 上げた牛の肉なのだ。
 実は、その事実は20年も前から知っていた。
 ある牧畜家から霜降りの入った牛肉をいただいたことがある。当時私はジャパン
 クラブの会長をしていた時で味見のつもりで下さったのだろうか。
 その時は、肉がまだ熟成されてないもので新鮮すぎたのだろうか、固かったので
 良い評価をしなかったものだった。
 肉をくださった方は、パースに住み西豪州の北の地方に東京都より広い牧場を
 お持ちだった。息子さんが、パースから牧場へ行くときにはセスナ機を自分で操縦して
 通っていた。感じのよい、ハンサムな息子さんだ。
 彼の父親の名はブラウンさん。彼から聞いた話では、日本の和牛の精子がほしい
 のだが、日本からは手に入れられず、アメリカ経由で取り寄せられたいうことだった。
 牛肉というのは、遺伝子がとても重要である。
 私の知る限りでは、80年以上前から淡路島の志筑では毎月「牛の市」があり、
 各地から博労(ばくろう)が集まってきてにぎわっていた。
 兵庫県の但馬地方も子牛の産地だ。
 淡路島や但馬の牛の中に、特別優れた血統の牛がいたようだ。
 その血統の牛を上手に育てるとよい肉が取れる。
 特に優れた牛の子孫が増やされ、それらが、松坂肉となり近江肉となり、今では
 日本各地の名前を付けた名肉が存在する。
 その事実を知った海外の牧畜家が著名牛の精子を狙ったのは当然かもしれない。
 日本の畜産農家が、それを阻止できなかったのがWAGYUに市場を荒らされる
 結果となっている。
 私が肉をいただいた20年前には、見た目には和牛肉だが、味が違うと思って
 いたが、その後も改良を重ねたのだろう。
 とにかく広大な土地を持ち、穀物も豊富な豪州なのだから、安価で提供できる
 という強みがある。今や豪州には、WAGYUの組織もできて、肉の認定も行い、
 ブランド肉の印象を強め、世界に向けての輸出に力を入れているようだ。
 これまで、世界の名産を日本流にアレンジするのが日本流であったが、
 和牛に関しては、しっかりやられてしまった感じさえする。
 日本の和牛農家はもっと目覚めなけれあいけないのではないか。