中原武志のブログ

生きていくうえでの様々なことを取り上げます

「秘密」と「あの戦争」を考える

 あの戦争とは、大東亜戦争(だいとうあせんそう)のことであり
太平洋戦争のことであり、第2次世界大戦のことである。
これらの戦争は、国によって呼称が違うからややこしい。
 あの戦争を「日米戦争」だと思っている若い人が多い。
あの戦争では、日本はアメリカ軍だけではなく、イギリス軍や
オーストラリア軍とも戦った。それだけではないことをもっと知っていて
ほしいと願っている。
 さて、12月8日に日本海軍が、アメリカの真珠湾へ奇襲をかけて
あの戦争が始まったことは多くの人は知っている。しかし、本当は
もっと早く日本のアジア進出から始まっていた。
 12月8日は、アメリカとの戦いの初めだったというわけだ。
先日の12月8日に、NHKスペシャルで「戦争への道 情報戦」
が放映された。
 実は、私はあの戦争について考えることが多くあり(多分に司馬
遼太郎さんの影響だと思うが)一般の人々より多くの資料を集め
研究してきた経緯がある。
 それらは、豪州の邦人紙JA・NEWSに何回かに亘って連載した
ことがある。
 今回NHKが72年ぶりに明らかになった事実として報道したが、
その内容のほとんどは、すでに私の知っていることばかりだった。
ただ一つ、映像で初めて見たというのがあった。
 英国が今のコンピューターの前身ともいえる最新計算機を開発
していたが、その実物映像を初めて見た。
 あの当時、ドイツの暗号は世界一と言われ、組み合わせが百万
もあり、絶対の解読されないといわれる優れものだった。
 英国は、ドイツ空軍にロンドン爆撃をうける中で、国内の精鋭を
集めて暗号解読のための努力を重ねて、ついに上記のスーパー
計算機を作ったのだった。映像で見ると、まるで「スーパーコ
ピューター」のようにさえ見える。
 
 ここからが肝心の話なのだが、英国はドイツ軍の暗号をすべて解読
して、攻撃に耐えた。
 英国の暗号解読は、日本政府や軍の暗号も全部解読してしまって
いた。日本の暗号が解読されていたという事実はよく知られたこと
であり、戦後に至っても、例えば日米繊維交渉の場合でも、日本の
本国政府からワシントンの日本大使館に送っていた暗号をすべて
解読して交渉を有利に導いていたことも、よく知られていある。
 暗号がすべて解読されているということは、こちらの手の内が見えて
いるということであり、戦いにならない。
 実は、真珠湾攻撃アメリカは事前に知っていたはずであり、アメリ
の国会で「知っていて、日本に紀州の機会を与えたとすれば、ホノルル市民
を犠牲にしたことだ」と紛糾したことがあるが、当然のこと政府は知らぬ存ぜぬ
で押し通してしまった。
 「秘密」に関する問題が、これからの日本の中で、日を追うごとに難しい
問題となっていくと思う。
 あの戦争のころも、「だれが漏らしたのか」と政府内、軍隊内でお互いを
疑心暗鬼にさせたものだ。暗号がすべて解読されていたということには、
まったく気が付かないでいた。
 今回の「秘密」問題も、いつか「だれが漏らしたのか」と疑心暗鬼の暗い
時代になるのではと心配する。
 どこまで秘密にするか、その秘密を誰と誰が持つことができるのかが、
今後の課題であり、そのゆえに、秘密を知った人間はその才能さえ発揮
できないという時代が到来するだろう。
 ここに書いたことを、若い人たちに覚えておいていただきたい。
その時になって、あああ・・そういうことだったのかと気づいてもらえれば
それでいい。