「どうなってるの?」
漫才ネタ
「地下鉄の電車はどこから入れたの? それを考えてると一晩中寝られないの」このフレーズで有名な地下鉄漫才で1970年代後半に一世を風靡し、立川談志をして「漫才で高座のトリがとれる」と言わしめた春日三球・照代(かすがさんきゅう・てるよ)の夫婦漫才コンビをご存じだろうか。
三球「…しかし、地下鉄の電車をどっから入れたんでしょうねぇ。それ考えると一晩中眠られなくなるの」
照代「あなたも面白いこと言うわね」
三球「あらかじめ電車を地下に埋めておいてからトンネルを掘るのよ」
照代「そんなわけないじゃないの」
三球「じゃ、あなた知ってるんですか?」
照代「当たり前じゃない。地下鉄の階段から入れたんですよ」
三球「え、そうなんですか?」
照代「常識よ」
三球「本当?よく改札が通れましたねぇ。それ考えると、また眠られなくなっちゃう」
こんなやり取りに会場がどっと沸く。同じネタで何年間も観客に受けていたということは、観客の多くの人たちも「地下鉄はどこから入れたのかしら?」と共感を持っていたのかもしれない。読者のあなたはご存知ですか? もちろん知っていますよね? でも、分からないという人のために答えは書かないでおきましょう。寝ないで考えてみてください。
レールの幅はどれも同じ?
列車や電車は、2本のレールの上を走っている。アタリマエダノクラッカーなどと言わないで、もう少し読んでみてほしい。列車や電車のレールの幅は世界共通ではない。
世界中で最も標準的に使われているのは1435mmのレール幅で、「標準軌」と呼ばれており、それよりも広いものを「広軌」、それよりも狭いものを「狭軌」と呼んでいる。一般に、線路が広いほど大型・高速で列車を運転でき、安全なのだが、国土の狭い日本は狭いレール幅を採用してきたといういきさつがある。数字的に中途半端なレール幅になっているのは、これは鉄道の発祥地である英国にならってヤード・ポンド法にしているからでもある。世界中には、何十種類ものレール幅があるというから面白い。
秋田新幹線の不思議
さて、東京駅を出発した東北新幹線の「やまびこ」は、盛岡駅で秋田新幹線の「こまち」と接続し、直通で秋田駅に向かう。しかし、東北新幹線は標準軌の1.435ミリなのに、盛岡から秋田までは1.067ミリの在来線の上を走ること言う疑問がわく。地下鉄の車両は、はどこから入れたのか、という問題以上に難しそうだ。
方法はいくつか考えられる。頭だけで考える前に、食卓などでは箸などを使うとか、テーブルの上では図に描いてみるとか試してみてほしい。
(イ)盛岡から秋田まで、在来線用と新幹線用にレールを4本敷いて使い分けする。(ロ)在来線の2本のレールを利用して新幹線用にもう1本増やして3本レールにする。(ハ)新幹線車両の車軸幅を狭軌に変える(車輪の幅を、油圧などを利用して変えるということ)(ニ)新幹線 用の車両の台車を盛岡駅 で狭軌用に交換する。(ニ)のアイディアは、手間がかかって新幹線としての役に立たないだろうから省くとして、(ロ)と(ハ)は最も使えそうなアイディアではないだろうか。
技術大国日本なら何で可能性があるような気がしないわけではない。もう一度書き加えておくと、東京駅発の新幹線のレール幅は広いのに、盛岡駅から秋田駅までの狭いレール幅の上をなぜ直通で走っていけるのか?という疑問だ。答えを見る前に、皆さんで考えてほしい。一発回答できた人はすごいと思う。
答えは次のようになるのだが、読んでもわからない人がいる。私の妻もわからないという。だから、この話も面白くないのではと言う。