名女優の森光子さんが92歳で亡くなられた。心からご冥福をお祈りしたい。
いたようだったが、あの二人とは時代も違うが貫録も違った。
私は、若尾さんの大フアンで、今も続いている。
しかし、いくらフアンでもお会いしたこともなく、ただ映画館のスクリーンに映っている
姿を追っていただけだった。
覚えている。
そこで、初めて森光子さんを見た。60年も前のことだった。60年前と言うことは
彼女は32歳だったということになるが、その年齢になってもそれほど知られた存在ではなく、あまたいる芸能人の一人にすぎなかった。
しかし、初めて森光子さんに目の前でお会いした時に『世の中でこんなにきれいな人が、本当にいるものだ』と心を奪われてしまったことは今もって忘れられない。
世界の美人女優にあこがれて、ビビアン・リーだ、オードリ・ヘップバーンだと騒いでいたが、森光子さんに始めてお会いしてすっかりフアンになってしまった。
気取っていないのもよかった。私はそのご、いろんな女優に会う機会を得たが、
気取っている人が多くがっかりしたものだ。
森さんは、そのご大女優へと登って行ったが、あの気さくさはおそらく最後まで
残っていたのではないかと思う。
名優がまた一人消えた。寂しくなった。私は三越劇場での森光子をいつまでも
記憶にとどめておくこととしよう。