中原武志のブログ

生きていくうえでの様々なことを取り上げます

私流生き方(83)

 人生と言う奴は、こちらの思う通りにはいかないものだ。
どんなに努力したって成ることと成らないことがある。
「為せばなる、為さねばならぬ何事も、成らぬは人の為さぬ
なりけり」を、人生の座右の銘とし、最大限の努力を続けて
きた私でも「ならぬ」ことも多かった。人生で最も大切なこ
とは「ならなかった」あとの考え方だろうと思っている。
 さて、大きな谷から抜け出して、小山ではあるが尾根に顔を
出したと思った途端に次の谷が待っていた。誰にも40~50
歳の間には大きな谷があると言う。人によっては50~60歳
にこの谷が来ることもあろう。ファッションの仕事は、あの不
渡り問題から上昇して安定することはなかった。なんとか破たん
を免れたと言うにすぎない。
 ワイドショーの司会という華やかな体験も仕事には役に立た
なかった。その上、私は分を心得ていて芸能界に打って出よう
などということを一切考えたこともない。そもそも「虚業」と
言うのが好きではないからだ。人は「実」の中でこそ生きるべ
きだと堅く思っているからでもある。
 そんなことを言っていても、やって行けなければどうにもな
らない。遂に元町の店を閉めることになった。次にやることが
ない。
 友人が健康食品を売らないかと話しを持ちかけてきた。知り合
いの中国人が事業を始めると言う。その事業を手伝ったらどうだ
と言うのだ。九州大分に「シイタケ博士」と別名を持つ吉井先生が
いた。吉井先生は、日本で最初のシイタケのオガクズ栽培を始めた
方でもある。「冬虫夏草」という漢方では最高級のものがある。
説明には多くの字数が必要なので、以下はウイキペディアの記述を
紹介しよう。
チベット高原やヒマラヤ地方の海抜3,000mから4,000mの高山
地帯で、草原の地中にトンネルを掘って暮らす大型のこうもり科の
蛾である(中国語:蝙蝠蛾)の幼虫に寄生する。中国の行政地域で
雲南省貴州省などでよく見られ、夏に採取されている。
この種の蛾は夏に地面に産卵し、約1か月で孵化して、土にもぐり
こむが、このときに冬虫夏草属の真菌に感染すると、幼虫の体内で
菌がゆっくり生長する。幼虫は約4年で成虫となるが、幼虫の中で
徐々に増えた菌は、春になると幼虫の養分を利用して菌糸が成長を
始め、夏に地面から生える。地中部は幼虫の外観を保っており「冬虫
夏草」の姿となる。」
 以上はウイキペディアの説明なのだが理解できただろうか。少し
補足しておこう。
 いろんな虫に冬虫夏草菌が入ると、菌は虫の身体の中で菌糸を伸ばして虫を菌核化してしまうので虫は死ぬ。生きたままの姿で菌核化されてしまうのだ。セミには蝉の冬虫夏草菌しか入れないため、冬虫夏草は虫と菌の偶然の出会いによって出来あがる。登山家などは、人生の内に数個見つけることが出来るかどうかと言われている。ところが、中国やヒマラヤなどでは大量の蛾の幼虫に冬虫夏草菌が入るために、多くの冬虫夏草を見つけることが出来るようだ。15匹ほどの冬虫夏草を金の帯に巻いて高額で売られている。湯で戻せば蛾の幼虫の姿に戻るから気味が悪い。
 効用は何かと一口に言うと「多糖類」なので免疫に作用するのが最大のものだろう。なにかに「効く」と言うものではないと、今の私は思っている。この冬虫夏草から「菌」をシイタケ同様に培養することに成功したので、健康食品として売り出すという話であった。