中原武志のブログ

生きていくうえでの様々なことを取り上げます

放射線と「がん」の関係(3)

 これまで、人体にある細胞とDNAについて書いてきました。
細胞の中にある核にはDNAが折りたたまれていて、その長さを
合計すると太陽と地球を600往復するほどの長さになるとも書き
ましたが、信じていただけましたか?
 DNAは、多くの人たちがご存じのように二重螺旋になっています。
二重らせんは、T・A・G・Cの僅か4つの塩基で出来ておりT-A と
GーCが一つ組み合わせになっています。補完するために逆の
A-T C-Gの組み合わせと向かい合って二重らせんを作っている
のです。
 このわずかな組み合わせが複雑に絡み合うことで約30億の遺伝
情報が作られています。
 DNAさえ解読して解析すれば、たちどころに人間のすべてが分かる
のではないかと、解読競争が行われた結果、予定より早く分析が終了
しましたが、終わってみると、反って分からないことが増えて来て人体の
と言うより、動植物の複雑さが分かってきたと言うべきでしょう。
 現在分かっているのは、30億もの遺伝子の内、重要な部分として
使われているのは、3万~4万か所ではないかと言うことで、ではなぜに
30億個もの遺伝子があるのかと大きな疑問が残されています。
 いずれにしても、これらのDNA情報は、子孫を残すためであり、たんぱく
質を作り出すためのだと言うことが分かっています。
 DNAに書かれた設計図が細胞内の「リボゾーム」と言うところにに運
ばれ、設計図通りのタンパク質を作りだすのです。どのような手順を踏ん
で作られるのかを解析し科学者に1昨年ノーベル賞が与えられました。
 私たちは、毎日食事をしています。食べたものは胃でバラバラにされ、
小腸で消化され血管へと吸収され、細胞内に取り込まれます。
 植物でも、動物でもすべて細胞があります。ですから、野菜や牛肉、豚肉、
鶏肉などにもDNAがあるのです。それをそのまま人間の体内に入れては
何が起こるか分かりません。ですから消化とは、これらの動植物のDNA
をばらばらにしてから血管を通して体内に受け入れるのです。
 取り込まれた各種の栄養素はDNA命令通りにタンパク質を作るための
基礎材料となります。ですから食事は、いろんなものをまんべんなく食べる
ことが大切で、どんなに美味しいものでも偏った食生活は良くないのです。
私たちは、DNAに書かれた設計図通りにタンパク質が作られるように、
材料補給するために食事をしているのです。
 コラーゲンを食べると肌が美しくなるとか、何とかの錠剤を飲むと関節の
痛みが治るとかと言うことを仁している人が多いですが、食べたものは完全に
バラバラにされてから血管に吸収されることになっているのは、先ほど書いた
とおりです。コラーゲンと言うのはタンパク質の中でも大きなサイズなので
食べたものがすぐに皮膚に行くと言うようなものではありませんし、直ぐに
膝関節に作用するなどと言うことは絶対にあり得ないのです。
 コラーゲンは、人体が持っているタンパク質の、約半分がコラーゲンです。
コラーゲンは細胞と細胞をつなぐ役割をしているのでrす。
 タンパク質を作るために、DNAのある部分が切り離され、2重らせんの
片方だけが切り離されてリゾソームへと向かいます。片方だけにしても設計
図は同じように作られていることも書きました。リゾソームへ送られたDNAの
切れ端の設計図通りにタンパク質がつくられます。
 タンパク質は人体が生存していく上でなくてはならないもので、約10万種
がああります。
 DNA鎖の配列によっていろんな異なったタンパク質が出来上がります。
 ここで、誤解を承知で一言で表現しておきましょう。「人間の病気のほとんどは
タンパク質の異常から生まれます」 まず、このことを頭の中に入れておいて
下さい。新聞の科学欄などにときどきタンパク質と病気の関係の話が出てき
ますから、気をつけて読んでみて下さい。
あとは次回としましょう。