中原武志のブログ

生きていくうえでの様々なことを取り上げます

班目委員長発言の何が問題なのか

 班目(まだらめ)春樹・原子力安全委員長が、菅首相たちと原子炉への
海水注入を議論した際に「海水注入には、再臨界の恐れがある」と言った
と、いったん報道された後に、『 再臨界はゼロではない」と言っただけで
恐れがあるとは言っていない。ゼロではないと言ったのは、ゼロだと言うことだ』
と国会で答弁した。
 
 この発言の何が問題なのだろうか。考えてみよう。
再臨界の恐れがあるからと、海水注入が50分間中断したことが、事故を大きく
したという認識があって、その原因の責任は誰にあるのかという点にある。
 班目・原子力安全委員長が「再臨界の可能性がある」と言ったのであれば、
専門家の言葉だから、首相もそれを重視しただろう。ところが班目さんは、
「そんなことを言うはずがない」と真正面から否定している。当時は一刻を
争う緊迫した中だったので、発言メモも残されていないようだから、水掛け論
になっている。
 あの当時、どのテレビでも専門家たちは「海水を投入すると、様々な危険が
伴う」と発言していた。だからこそ、自衛隊のヘリコプターも、空高く離れて
海水を投下したのだと解説していたものだ。
 結果としては、海水を入れることによって廃炉が決定的になるが、事故とし
ては、問題が起こらなかったが、あの時間帯では、多くの専門家も心配して
いたのではなかったのか。
 
 いずれにしても、この問題には裏がある。海水注入が遅れたことによって
事故が大きくなったのであって、地震津波でこの事故が大きくなったのでは
ないとしたい「力」が働いているからに違いない。
 物事は多角的に見ないと見えない。原発を続けたい側から見ると、地震
津波が大きくクローズアップされたくない事情がある。騒がれすぎると、他の
原発の運転中止や再点検などに追い込まれる心配があるからだ。
 だから、ここは菅さんに責任を全部負わせて辞職に追い込み、原発継続
路線を確立したいのが本音だろうと思う。
 問題の本質を見誤らないようにしたいものである。