先日、娘の家近くの小さなスパーで大根を買った。得意のビール漬けを
作ってやろうと思ったからだ。
東京のある有名な料亭では大根のビール漬けを出すと聞いたのは10年も前の
ことだった。作り方は秘伝だと言う。
それじゃ作ってやろうかと思い立って作り始めた。何しろ漬物なんて売っていない
豪州・パースに住んでいた時で、漬物に飢えていたという事情もある。
何度か失敗して上手になった。その後多くの人に作り方を教えたが、みんな上手く
行かないらしい。
たまたま大根が目に入ったので、娘に秘伝?を教えてやろうよレジのところで
お嬢さんに「このあたりにタッパーウエアを売っているお店を知りませんか?」と尋ねた。
お嬢さんは、「知りません」という。
「あの・・この大根を切って入れる入れ物がほしいのだけど・・・タッパウエアを知らないの」
「あの・・・タッパウエアと言うのは知りませんが、タッパならあそこのヒャッキンで売って
いますが」という。
あ・・・そうなんだ。タッパウエアとタッパが同じものだと、お嬢さんは知らないのだ。
日本人は何でも言葉を短くする習性がある。
テレビジョンはテレビ
フアクシミリはファックス。
日常の生活の中で「英語」を挟んだ会話はかなりの量になる。
正確に使っておれば、いつの間にか英語も身につくというものだが、短く端折って
しまった英語では英語ではなくなってしまう。
外国へ行って「テレビ」と言っても通用しない。
ファックスと言うとファック(性交)と間違えられるだろう。
タッパではなくタッパウエアと、これを売り出した当時は正確に言っていたのに
いつの間にかタッパと略されたようだ。
帰国後、家内が一番困ったのが「ヒャッキン」という言葉だったそうで、みんなが
使うのに、私には意味がわからず困った・・と言う。
せっかくなのだから、もう少し正確に言葉を使いませんか。
短くすると便利だけではなく、かえって不便なこともあることを知ってほしい。
国際化を言うなら、外国語を短く言うのはやめたいものだ。