彫刻家ロダンの言葉の中に「石に一滴一滴と喰い込む水の遅い
静かな力を持たねばなりません」と言うのがあります。
先日、親しくしている悦ちゃんに1冊の本をいただきました。彼女も毎年
美術展に出展してくださっていますが、彼女の友人たちにも才能の
ある方が多く、素晴らしい作品を出してくださいます。
その友人の一人が、なんと私の娘の恩師であり、美術展会場の
入り口で娘が「前川先生じゃないですか」というと恩師が「めぐみちゃん」
と答えたのには驚きでした。だってもう40年も前の恩師なのですから、
お互いにわかったというのも不思議ですよね。
それを知った悦ちゃんが、私に「前川さんの息子さんの本ですが差し
上げます」と持ってきてくださったのが、VoMER(ヴォメル)というタイトルの
本でした。
前川秀樹さんの彫刻作品の数々が掲載されている素晴らしい本です。
私は実物を見たわけではないのに、作品の写真集を観ただけなのに
ひれ伏してしまうような気持ちになってしまった。
私はほんの少しだが・・彫刻がわかる。だから・・・桜のような硬い素材を
よくもここまで・・・とか思って感動が大きくなるのだろう。
そしてまた文章が素晴らしい。
最初にロダンの言葉を紹介しましたが、ここでは前川秀樹さんの言葉を
紹介しておきます。
「コッ。最初の鑿をうつ。まずはより安全なところから。
安全と言うのは。つまり其処を穿っても先々困ることはないだろう、という
場所のことだ。
続けて打つ。他の安全なところを見つけてまた打つ。
それを繰り返す。
すると不思議なことに、いつの間にか、逆に`安全でないところ‘が目の前に
現れる。・・・・・・以下略。
彼はこのように木の塊に向き合って彫り続けて作品を仕上げていくようですが、
凡人の私にはとんでもない長い作業に思えてなりません。
私の拙い文章では、彼の作品の素晴らしさも、その文章力もうまく書き表せない
ので、ぜひ・・・。
「前川秀樹」さんを検索して、彼の作品群や文章に触れてほしい。
OMER(ボメル)
と