中原武志のブログ

生きていくうえでの様々なことを取り上げます

「砂の争奪戦」(3)

 ドバイは、もともと砂漠の国であった。オイルマネーで潤い、いまや
お金持ちの国である。高層ビルが建ち並び、世界の金持ちが集まる
ところとなっている。
海がどんどん埋め立てられ、ビルや家が立ち並ぶ。
どこから砂を得ているのだろう。
砂漠の国なのだが、砂漠の砂と言うのは風によって移動が激しく
丸くなっていてコンクリート用には役に立たないというから砂漠に砂が
いっぱいあるように見えても、砂がないということらしい。
シンガポールなどは国土の20%も埋め立てで作られているが、
砂をアジア各国からの「密輸」で調達していて、インドには「砂マフィア」が
存在するらしい。
 問題は、世界の砂浜の浸食とこれらの砂採取の間には大きな関係
らしい。
 自然と言うものは、面白く恐ろしい。
砂浜は、夏場に厚くなり、冬場は波風によって薄くなる。
冬場には、陸地の奥に向かって砂浜が延びのが自然なのだが、建造物
が砂浜に近いと延びられず、海に向かって砂が打ち返されてしまい、砂浜が
なくなる。分りやすく言えば、日本の海岸線のテトラポットが砂浜をなくして
しまったということだ。
 豪州・パースは豪州の西海岸にあるが、あの長い西豪州の海岸線のなかで
海岸のそばに建物があるのは僅か200メートルほどである。あとの海岸線には
建物が建てられないように規制されている。だから、昔の日本の海岸線の
様な懐かしさがそこにはある。
 人間って賢いのか馬鹿なのか。地下や海底から砂を獲って、コンクリートとして
地上高く積み上げているが、いったんコンクリートとなった建造物を砂には戻せ
ない。もうすぐ「砂」と言う資源もなくなってしまう。
 ますます砂の争奪はひどくなっていくだろう。
 東京オリンピックが開催される東京ではこれから建造ラッシュが始まる。
 砂を地上に高く積み上げる「建築」を観るたびに、砂のことも考えてみよう。