中原武志のブログ

生きていくうえでの様々なことを取り上げます

第2の人生(14)

 プールがある生活は、とても素敵だった。近隣の家からは、子供たちがドブンドブンと
飛び込んで楽しんでいる音が聞こえてくるが、我が家では、水面を眺めて楽しむだけだった。
手入れと水質管理には手間がかかり過ぎたが、その手間も楽しみに変えていた。
 庭が広いのも、嬉しいようで大変だった。花の苗をものすごく買い込んできても、足りない
のだ。今住んでいる日本のマンションの場合は、20鉢も植えればベランダがいっぱいに
なるので、シーズンごとに20鉢分程度の花の苗を買えばそれで済む。
 しかし、パースの我家の場合は、鉢植えは60個余りだったが、ガーデンへの直植えが
主だったので、季節ごとに買い込む苗代金などが馬鹿にならない。
 家の周囲のガーデンの樹や花に水やりをするのは、スプリングクラーにお任せである。
スプリングラーのノズルの数は、芝生の部分を合せると50ケ所ほどになる。それを10か所
ずつ、5つに分割し朝晩10分間ずつ放水するようにタイマーで設定をする。スプリンクラー
だけで、一日に100分間水道を使っている計算となる。プールへの補給には60分、ずいぶん
無駄な水道水を使っていたものだ。
 そういう家が多いので、夏季には水道水使用制限が出されるようになったので、井戸を
掘ったというわけだ。井戸掘りというのは、面白い仕組みになっていた。業者は、パース全域の
どこを何メートル掘れば、どんな水質の水が出るかというデーターを持っている。広大な
パース全域をこういう形で把握できているということは凄いことだ。
 だから、業者と話し合った時には、費用の計算まですんなりと決まるシステムになっていた。
我家の場合は、30メートル掘れば、ガーデンに使う程度の水質は保証された。結果的には
プールにもつかえた。
 私たちが住んでいる間には、井戸掘りにつかった経費は取り戻せなかったが、長い目で
見ると、水道水節約にもつながるものなので、良かったと思っている。このような問題が
あるので、最近建つ家にはプールもないし、芝生面もなく、ガーデン部分も小さくする
傾向にあるようだ。 そういう面では、爆発的に人口が増えて水道水確保などと騒がれる
まえの、静かなパースの時代を14年間過ごせたことは良かった。
 芝生の管理は、業者に頼んで毎月3回刈り取ってもらう。一回の料金は20ドル程度だった。
パースの土は全部が砂なので、そのままでは木も花も育ちにくい。だから、生育に良い
土を買って入れてもらう。年間2度ほど[マルチ」と呼ばれる腐葉土をどっさりとガーデンに
敷き詰めてもらっていた。
 一軒家に住んで、その管理や経費はかなりのものになるが、外国にお客さんとして
住むのではなくて、生活者として住んでみたいという自己満足だけは満喫できたと思って
いる。