中原武志のブログ

生きていくうえでの様々なことを取り上げます

武田邦彦さんに願うこと

この前に中部大学教授・武田邦彦さんに対して厳しい指摘を書いた。
今日は、彼の名誉のためにも、原発に関してみなさんにもっと知って
いただきたいためにも追加記事を書いておきたい。
 
私は、武田さんの記事をいつも好意的に読んできた。それなのに
「例え自分が原発建設に反対でも、国民が合意して建設したもの
には敬意を払う」的な書き方には、読んでいて冷静さを失ってしまった。
国民が合意したはずはない。これまで説明さえ受けていない。本当の
原発の恐ろしさや、原発建設と後処理にかかる経費なども、本当のことは
一度も知らされていなかったからだ。
今回の事件が起こって、いろんなことが明るみに出てきたのは、これまで
言いにくかった事柄も、今では言えるからなのかもしれない。
 
そう言う意味では武田氏も、これまでの内部事情をかなり詳しく書いてくれて
いるので読んでいて面白い。
平成18年5月18日に行われた「原発の耐震基準」の審議が行われた。
詳しい内容は省くが、氏が簡単にまとめたものをそのまま使わせていただく。
ここで決められたのは・・・。
(1)原発の立地が決まると、地震の専門家が現地に赴いて「想定される
  最大震度」を割り出す。
(2)それに基づいて建築の専門家が原発の建屋の設計を行い、原発
  建てる。
(3)このような手続きで進めるので、もし予想外に大きな地震が起こったら
  「想定外」になり、原発は壊れる。
(4)原発が壊れると付近住民が被曝することになり、「安全せある」と言う
  ことと反するので、「地震原発が破壊する」と言うことを「残余のリスク」
  と言う言葉を使う。
審議会で決められたのは以上のことだったと書かれている。
 
 武田さんは、その際に次のように発言されている。
「この耐震指針の目的は、原子力発電所の建物が壊れるのを防ぐのか、
運転が安全に継続することを目的とするのか、それとも付近の住民や
社会に影響を及ぼすことを防ぐのか?」と。
 ここで作られた「指針」は「住民の安全は地震専門家の知識と運命共同体
になる」という内容だったと言う。
地震専門家が間違った最大震度を割り出せば、まちがった耐震建造物が
出来あがるという構図になっている。恐ろしいことだ。いつも「想定外」と
言えるように仕組まれているようだ。
 
武田さんは「真実を口にしない専門家」「国民を騙す解説者」など厳しく、
正しい指摘をされている。そして、全責任は「保安院」にあると決めつけて
おられる。そして、日本社会は「科学バカ」であり、「思想なき巨大技術」の
崩壊だと結んでいる。
どれもこれも仰るとおりである。
今回の福島原発事故に際して「不不思議なことな何一つない」という。
 
ここで一つ疑問が湧いてきた。
武田さんは、これまで知り得た原発の危険性を、どこまで、誰に向かって
発信されてきたのだろうか。もちろん私は無知だったのだろうと思うが、
武田さんが原発の真の怖さを国民に強くアピールしてきたことがあったのか、
どうかを知りたい。ご存じの方は教えて下さい。
高木仁三郎氏のように、原子力の危険性を身を持って体験したために、
社会に向かって原発の怖さを強く発信された。氏によって多くの国民が
原発の怖さを知ることが出来た。
氏は、がんで亡くなったが、放射線と関係ないとは言えないだろう。
 
武田さんが高木さんのように、社会に向かって発信を続けて来られたのなら
評価されるだろう。
「内部」にあって、しかも「東大派閥」にもみくちゃにされながらも「正論」を
貫かれたことには敬意を表したい。もう少し勇気があれば、国民を見方に
出来たろうに、ヤハリ「アカ」と思われることを避けて、枠内批判をされて
来たのだとすれば、残念である。
人生、どこで一線を引くかが問われる。それよってその人の真実が分かる。
私は未だ、武田さんのこれまでの「社会に対しての発信度」と言うものを
知らないので、これ以上は書けない。
今後はぜひ、彼の正義が社会に向かってもっともっと強く正直に発信され、
日本の原発関連の暗い雲を晴らしてもらいたい。