現在、日本では3人に1人が「がん」で亡くなっています。
がんに罹った人すべてがんで亡くなるわけではなく、肺炎や多臓器不全などさまざまな死亡原因で亡くなっていますから、「がん」に罹っている患者は日本人の2人に1人はいるという計算になります。
後10年もしますとこの割合はもっと増えると考えられています。
がんは生活習慣病とも言われ、喫煙などの生活習慣によっても引き起こされます。
また「がん」は中年期病とも言われるように、中年期に発症したあと、細胞分裂の繰り返しによって「がん」がどんどん大きくなって行き、高齢といわれる年齢になった頃に形となって現れてくる病でもあります。それゆえに高齢者病とも言われます。
私たちの身体は、200以上の臓器(器官)があります。一人の身体は約60兆個もの細胞で出来上がっています。精子と卵子が巡り会って、細胞分裂を繰り返して一人の人間が出来上がってゆくわけですから、壮大なドラマともいえます。
それぞれの臓器の細胞は必要なときだけ細胞分裂をして、絶えず新しい細胞に取って代わっています。こうした細胞分裂をする際に、細胞の中の遺伝子(DNA)が、何らかの原因で傷がつきます。それががんになっていくのです。簡単にいうなれば細胞分裂の際の遺伝子コピーのミスが「がん」になって行くのです。
正常な細胞は、ある時期が来ると死に、新しい細胞に取って代わりますが、がん細胞はそのようなシステムになっていないので、どこまでも増殖を続けるために、自分の他の臓器を圧迫し、やがて死に至ってしまうというわけです。
がんを考えるとき、がんは「身体の外からやってきた病」ではなく、正常な細胞も、がん細胞も「自分自身」であるということをしっかり認識しておくことが大切です。
ウイルスなどによって引き起こされる病気などとは根本的に違います。
がんの検査機器にはCT、MRI、PET、内視鏡、X腺、超音波、マンモグラフィーなどがありますが、がんは、これらの検査などによって発見されるまでに何十年間という年月を経ています。最新の精密な検査機器でも1センチ以上のがんでなければ発見しにくいといわれています。1センチのがんは、細胞にして約10億個になります。目に見えないような小さながん細胞が、10億個にまで増殖し、目に見える形の1センチという大きさになって、ようやく検査で見つかるというわけです。検査を怠っていますと、1センチから10センチになるのにはたいした年数が要らないことは計算すればお分かりでしょう。
がんを良く知り、がんに備えることも大切なことであり、がんになった人は、最も正しいと思われる治療を受けるように努めなければなりません。これから「がん」について皆さんと共に学んでまいりたいと思います。
がんは、やはり怖ろしい病気です。約半数のがん患者は治癒することはありません。そのことをよく理解することも大切なことではないでしょうか。