中原武志のブログ

生きていくうえでの様々なことを取り上げます

海外旅行・あれこれ(2)「オーランド」

 この記事は、豪州、パースの邦人紙であるJANEWS新聞に
 2011年から2012 まで連載した「海外旅行の思い出」を
 まとめたものです。
  旅というものは、手作りの方が思い出が残ります。
 ツアー旅行の場合でも、手作りの部分を自分で少しでも多く
 作ることが旅の楽しみにもなります。 
 たとえばですが・・・信号機の高さとか色とか、標識だとか、
 看板だとか・・・国によって違うものです。それらをしっかり見つめる
 ことが、記憶を鮮明にしてくれます。
 名所旧跡をどんなに観ても、思い出にはつながりません。
  失敗が多いほど、楽しい思い出が増えることになります。
  ハウツー本とは違った何かを感じ取っていただければ幸いです。

旅の思い出あれこれ 「オーランド」 アメリカ・フロリダ州
  
 オーランドにはこれまでに4度訪れている。最初の2回は妻と二人で、次いで娘と3人で、そしてパースの友人たちと5人で行った。
 どうして遠いオーランドまで何度も行ったかと一言で言うならば、子供のような無心な気持ちになれるということだろうか。若い人たちには「新婚旅行」に、高齢者には子供心に帰りましょう」と、オーランドをお勧めしたい。
 オーランドはフロリダ半島のちょうど真ん中あたりにある。この辺りに住まいを持っている日本人スポーツマンがかなりいるらしい。一年中陽気が良く、コンディション調整に最適な場所なのかもしれない。
 
 
新婚旅行にお勧め
 
 オーランドは「世界一ホテル(モーテルも含めて)の部屋数の多い都市」といわれているが、それだけアメリカ各地をはじめ、世界中から観光客が訪れるということだろう。
 オーランドを訪ねるには、最低1週間は確保しておきたいものだ。少なくとも、ディズニーワールド、ユニバーサルスタジオ、シーワールドの3つはゆっくり観(み)ておきたいからでもある。ディズニーランドやユニバーサルスタジオは他にもあるではないかと思われるかもしれないが、それが違うのである。例えばロスにもこの2つの施設はある。しかし、オーランドの場合は圧倒的に規模が大きくエキサイティングである
ディズニーワールドは、総面積約121平方キロメートルという広大な敷地(NYマンハッタン島の約2倍相当)であり、その規模に圧倒されるだろう。
 ディズニーワールドは、ディズニーランドとは違うということだ。出来るなら、ここだけでも数日かけてゆっくりしたいものである。1週間チケットなるものもある。初めて行ったのは1990年で、その年に再度訪れ、その翌年にも行った。最後に行ったのは1994年だったと思うから、わずか4年間に4度も行ったことになる。
 ユニバーサルスタジオの規模や出し物にも驚いた。特に夜になってからのアクションものが面白かった。当時アメリカで人気のドラマ「マイアミバイス」の演出には驚かされたものだ。シーワールドにも圧倒された。今では日本でも各地に大きなイルカショースタンドが建設されているが、当時はシーワールドの規模にびっくりしたものだ。シーワールド・アドベンチャー・オーランドは、世界最大規模のマリンパークでもある。
 私たちは行かなかったが、ケネディスペースセンター(KSC)は、“宇宙に一番近い場所”“宇宙への玄関口”として知られているところでもある。
 ディズニーワールドもユニバーサルスタジオも、シーワールドも人によって感動も違えば受け止め方も違うだろうから、これ以上私たちが当時感じたことを詳しく書いても面白くなかろう。
 
 
オーランドでの貴重な経験
 
 初めて行ったとき、全く地図が分からず、3つの施設にどのように移動してよいのかさえ、分からなかった。そこでホテルのフロントに依頼して、それぞれの施設に5日間送り迎えをしてもらう車の手配をしてもらった。朝9時に送ってもらい、夜8時にピックアップしてもら約束である。古いことで金額は忘れたが、高いものではなかったのでお願いした。
翌日の朝、迎えに来た車はリンカーンコンチネンタルだったので驚いたが、アメリカではこれが普通なのかと思った。運転手は黒人で、ディズニーワールドまで鼻歌を唄(うた)いながらルンルン気分で運転していた。ディズニーワールドに着き、ピックアップの時間と場所を確認したあと、5日間の金額をここで払ってくれと言う。その金額を聞いて驚いた。ホテルのマネージャーが言った金額の3倍である。ここで争ってはピックアップしてくれないかも分からないし不安なので、とにかく支払った。
 車がリンカーンコンチネンタルだから高いとは思えない。運転手がこちらをバカにしているのだろうと思い、その夜にホテルのマネージャーに抗議したところ、私の目の前で運転手に電話をかけ怒鳴りつけていた。
 翌朝、約束の時間に迎えに来てくれて、金を返してくれたが、その日から4日間、ぶすっとして一言も言葉を発しない。こちらは英語でうるさく語りかけられるより、静かな方がいいので気にもしないが、彼にすれば「儲(もう)けた!」と有頂天だったのに、とんだタヌキの皮算用になって腹が立っていたに違いない。
 旅というものは、ツアーコンダクターに先導されてついて回るより、多少の不自由があっても個人旅行の方が楽しい。そして、何もかも順調だった旅よりは、何らかのトラブルがあった旅の方が印象に残っていて、いつまでも忘れないものだ。
 一瞬、ドキンとしたり、ヒヤリとしたり、ハラハラしたり、頭が真っ白になるようなことが起こった方が、忘れられない旅となる。旅とは本来そういうものではないだろうか。
 安全を考えることは大切であるし、おろそかにしてはいけないが、恐れるぐらいなら旅などしない方がよい、と私は思っている。