最近は「既製服」とか「誂え服」などという言葉もなくなりましたね。
こういう言葉は、とても古臭く感じてしまう。
既製服というと安物という印象だった。
あるころから「プレタポルテ」というように呼ばれ始めて事情が一変した。
紳士服の既製服はともかく、婦人服では既製品というだけで避けられて
いたものが、プレタポルテと言い方を換えただけで売れるようになった。
もちろん作る側の努力もあって、製品が格段によくなったということもあった。
誂え服というのも、オートクチュールなどと言われるようになって、
格が上がったかのような印象さえあった。
しかし、ほんもののオートクチュールというものは、それほど簡単な
ものではない。
ここでは面倒なので詳しい解説はしないが、「家庭画報」10月号が歯科医の
待合室においてあって、その表紙の写真を見たときに、オートクチュールだ、
と思った。見るだけで分かる。
ご存じない方に一言説明すれば、オートクチュールでは、アイロン操作が
違う。芯の使い方が違う。何もかも・・違う・・などと言ってはみもふたも
ないけれど。 まず、スーツ、ワンピース、スカートなどのヘム(裾)を
みれば、それだけで違いが分かるというものだ。
アイロン操作って?と思うでしょうね。生地というのはアイロン操作で
どうにでも動かせるのですが、それにはテクニックがいるのです。