まず書いておきたいことは、体操の内村航平さんとがん闘病には何の
関係もないということです。
では・・何を学んだか・・。
体操個人総合では、彼はずっと2番目で追走している立場だった。
最終の鉄棒競技に入る直前では、トップの選手に約1点の差があった。
どう考えても、鉄棒競技だけでは1点差を覆すことなど不可能だった。
私は、内村が自分の能力より0.5多い得点をあげ、相手が普段の実力
より0.5低い得点の時にしか優勝はあり得ないと考えながら見ていた。
100%難しいとほとんどの人が考えたと思うが、奇跡は起こった。
その奇跡の原因をずっと考えている。
彼はその直前の時間帯に、ずっと瞑想しているかのようだった。
だけど目はつむってはいなかった。
少し離れて座っている加藤選手が、ときどき内村選手のほうに目を走らす
が、加藤も気を使って声も掛けないし、じっと見ることもしない・・緊張感の
中にいた。
今回、加藤が実力を発揮できなかったのは、内村を気遣っているうちに
自分のペースを崩したのかもしれない。
鉄棒競技で内村は凄い得点をたたき出した。それでもまだ相手は鉄棒で
15.00を出せば優勝という楽な立場だった。しかし彼は14.80しか出せなかった。
内村の鉄棒は15.80だった。
相手は、無理な演技を避けて無難な演技を選んで15.00を出そうとして
失敗したのだと、私は思っている。
攻めるか守るか・・・
実は「がん医療」の際の選択ともつながると私は考えている。
攻めすぎる医師の言いなりになっていると寿命が縮むこともある。
守りに入って何もしないでいると、ガンに負けてしまうこともある。
熟慮し、冷静になり、自分をよく見つめ、普段の自分を取り戻し、無理ではなく
冷静に自分を出し切る・・・もっとも難しいことだが、内村はそれをやってのけた。
がん医療だけではなく・・・・彼の今回の一連の姿はほかのことにも参考に
なるだろうと思っている。
内村にはイチローに通じるものも感じる。
何よりも・・・日常的に琢磨していることが結果として現れるのだろう。