昨夜「ガンとゲノム」と題する講演会があった。
神戸いきいき勤労財団主催で「熟年生活講座①」
として3回行われたうちの第3回目に参加させて
いただいた。第1回、第2回はスケジュールが合わずに
参加できなかったが、第3回も予想通りの講演内容だった。
講師は現役時には世界的権威でもあった西川伸一先生。
西川先生が理研の副センター長だったころに知り合い、
今では先生のNPO法人AASJの事務所で毎月「日本がん
楽会(らっかい)の「がんサロン」を開催させていただいて
いる。
さて、ガンとゲノムと聞くとがん治療が一挙に何十年進ん
だような気になってしまうが、医療はそれほど簡単なものでは
ない。先生は前を見つめる研究者なので、常に前向きだし
治療に光明を見出そうとしておられるので、最近のゲノム
解析などにより、がん治療も一気に前進するとお考えのようだ。
ゲノムとがん治療の関係は、鍵穴と鍵の関係に似ている。
がん(細胞)は頑丈で特別な部屋にいる。その部屋の鍵穴の
形がわかれば鍵を作ることは今では容易になっている。
現在、世界の一流の研修者が躍起となって鍵穴を探している。
しかし、「がん」というのは部位によっても違うし、同じ部位で
あっても一人ひとりタイプが違うと言ってよい。すなわち鍵穴が
一人ずつ違うと考えると分かりやすい。
だから、その人のがんの「鍵穴」の形が判明しなければ鍵は
作れない。
簡単なようであって、容易に鍵穴を見つけられるようになる
までには、あと20年はかかるのではないかと、私は思って
いる。
自分が持っている免疫というシステムは、時として自分を
襲う。私の喘息もそうだが、難病系の病気には自己免疫
異常によるものが多い。
これから「免疫とゲノム」の研究がますます盛んになり、難病
もガンも治癒する時代になってほしいと願っている。