妻のメニエル症状が治まってきたので、久しぶりに近くを散歩した。
私たちの住む大月台は、絶好の風景に恵まれている。六甲山を背負い、
そばには六甲川の清流が流れ、緑あふれる中に住宅地が広がっていて、
標高２５０～３００メートルの台地からは、大阪湾、神戸の市街地が見渡せる。
大月橋などは、夏ともなればアベックのたまり場ともなる、夜景の名所でも
ある。
妻と二人、大月台をぐるっと巡る散歩コースがあって、約３０分ほど歩く。
行きはよいよい帰りは恐い・・という感じで、どんどん坂を下ると帰りはしんどく
なるコースだ。
春から夏にかけては、コースの途中で、いつも鶯の声に、しばし疲れを癒
される。そして、私が口笛で鶯のモノマネをすると「おまえは下手だな。こういう風に
唄うのだよ」と言わんばかりにきれいな鳴き声が返ってくる。何度もやり取りする
のが楽しみになっていた。
しばらく散歩していなかったが、今日も同じ場所で鳴き声を真似てみたが
応答がなかった。何度かやっているうちに、「なにをしておられるのですか」と
問うので、これこれしかじか・・と答えるうちに、親しく話をするようになってし
まった。
大月台の中でも、最高のロケーションに建つ、美しいお住まいのご主人Ｏさん
だった。話が弾んで、また会いましょうと携帯の番号まで交換することになった。
その時、鶯の鳴き声が聞こえたので、私が口笛で応えると、先方からも
美しい鳴き声が返ってきた。その上、素晴らしい「鶯の谷わたり」まで聴かせて
くれたものだ。
人生の出会いは楽しい。一期一会、出会いを楽しみながら、人生に彩りを
あたえながら生きる。残された人生は少ないだろうが、それだけに彩りに
無駄は許されない。
