中原武志のブログ

生きていくうえでの様々なことを取り上げます

私流生き方(136)子育て編その5

(136)「多動の子供」
 
 こうした行動のうち、思い当たることがいくつかある生徒に、学習
の遅れが目だつのです。「善悪の概念が弱い」を入れてもいいかと思
います。もっと細かく分類して書くと分かりやすいでしょうが、ここで
はこれぐらいにしておきましょう。
この子どもたちに共通した問題は「育てにくい」ということです。幼児
期以降、いくつかの気になる行動が現れることがあっても、このような
行動は、年齢と共に消えていくといわれています。そして、その人の個
性として昇華してしまうのです。
私の独断で叱られそうですが、『窓ぎわのトットちゃん』の黒柳徹子
んもこの「育てにくいタイプに該当するのではないかと思いました。小
学校一年生の時、授業よりも窓の外のチンドン屋の音の方が気になって
小学校を退学になったことなどは、このタイプだからではないかと思う
のです。トットちゃんは、「トモエ学園」という素晴らしい学校との出
会いがあったからいいけれど、もし、トモエ学園との出会いがなかった
ら、あのすばらしい個性が、個性となる前にゆがめられていたのではな
いかと思うのです。
 いわゆる「育てにくい」タイプの子どもは、親に叱られやすい子供
です。兄弟、姉妹と違うところが多く、絶えず比較されては叱られると
いうことを繰り返します。学校においても、その多動さゆえに叱られ
たり、子どもによっては鈍い行動のためにうとまれたりします。授業に
集中することが苦手なために叱られたり、勉強ができなくなってきます。
特に、授業に集中しないとついていけなくなる小学校三、四年生頃から、
教科に遅れが目だってくるようになります。この頃、親が的確な対応を
すれば救いの道はあるのですが、多くの親は塾と学校にすべてを任せて
しまいます。
学習はますます遅れ、送れているから面白くなく、授業中の多動が増え、
先生に厳しく注意されることがおおくなります。授業中の四十五分が苦
痛の四十五分と化し、ストレスがたまり、いじめ、暴力行為などに移っ
ていく生徒が出てきます。中学校に入る頃には、得意だったいくつかの
教科にまで遅れが目立つようになり、自我の目覚めとともに反教師的行
動が起こるようになります。そして、親が学校に呼ばれ、場合によって
は親と学校との間までギクシャクしてしまいます。
 このタイプの子は、男子の場合、生徒数の数%前後現れ、女子の場合は
その数分の一しか現れないと報告されています。このタイプの生徒に管
理を強めすぎた教育をした場合、自分に注意しつづける大人たちを嫌う
ようになり、大人になりたくないという「ピーターパン・シンドローム
を持った子どもになったり、暴力的な子どもになったりすることもすく
なくありません。
子どもに責任はない。繰り返して言いますが、このタイプの子どもの場合、私は子どもに何の責任もないと考えています。
しかし、病気などの原因がなく、その行動が親や教師に叱られやすいタ
イプであるために、裁かれたり、比較されたりしている間に、二次的、
三次的に子どもの性格をゆがめてしまうものす。ですから、そのような
ことに理解のある親や先生にめぐりあった生徒の場合は、問題もなく育
つことができます。
また、このタイプの子どもであるからといって、何も心配することはあ
りません。私も、このタイプの子どもであったようです。
このようなタイプではなく、明らかに何らかの問題を持った子どもも学
習が遅れます。しかし、その場合は、親も問題に気づいており、先生も
その理由を知っているという場合が多いので、叱ることによって、親や
先生が嫌いになるということは少ないものです。この場合は、その反面、
親や先生が「ふびんな子」と思って、過保護に育ててしまうことが多い
ように思います。