中原武志のブログ

生きていくうえでの様々なことを取り上げます

墓場のない核廃棄物(2)アメリカの墓場計画

 自然のものは、必ず自然に帰る。それが自然なのだ。どんな動物でも
植物でも朽ちれば自然に帰れる。土から生まれて土に帰る。
 原発運転から生まれる核廃棄物には、帰るところがない。自然に放置
しておけない危険物だからである。
 世界一の原発アメリカでは、核廃棄物が溜まりすぎて、これ以上は
墓場を作って埋葬するしかないところまで追い込まれている。
 アメリカは、すでに22年前から墓場計画を建て、それを実行に移してきた。
300メートルの縦穴を沢山堀って地下にも縦横に穴が巡らされ、その総
延長は65キロにも及ぶ。
 作られた場所は、ネバダ州であり、かつて約800回以上の核爆発実験
が行われたところに接している。すでに周囲は放射線で汚染されている地帯
でもある。
 アメリカはこれまでに日本円にして約1兆円もの費用を賭けて着々と建設
を進めてきた。そして、墓場の運用を待ち望む約7万トン以上の使用済み
燃料の捨て場となるところだった。
 この前の大統領選挙で、オバマ氏は、この「ユッカ・マウンテン計画」に
反対し、選挙公約に掲げて勝利した結果、現在計画は凍結されている。
 反対の理由は二つある。一つは使用済み燃料を容器に入れて現地まで
車で運ぶ時にテロに襲われる恐れがあること。もう一つは、地下水が汚染
されるのではないかという懸念である。
 現在、使用済み燃料はどういう状態に置かれているかというと、容器に
入れられ、原発近くに留め置かれている。肥溜と変わらない状態だ。
 違うのは、糞尿は土に帰るのに、使用済み燃料は、巨大なステンレスの
容器に入れられ、地下深く埋められ、何万年以上経たないと安全な状態
にならないと言う点である。
 反オバマ勢力は、このユッカ・マウンテン計画を再び世に出そうと盛んに
働きかけている。福島原発事故が、この計画にも影響を与えることは間違い
無いだろう。
 日本でも、各原発周辺に留め置かれた使用済み燃料が溢れている。
しかし、未だ墓場の場所さえ決まっていない。危険物を野ざらしにしている。
原発運転を続ける限り、使用済み燃料は増え続ける。テロによって略奪
されたら、怖ろしい数の原爆に変身するものだ。
 なんとも厄介な、代物を作りだしたものである。