子供を働かせる、というと今ではひどい親と言われるのだろうか。
しかし私は、子供が働かなくなった国はだめになると信じている。
今、子供が働いている国々と言えばアフリカやアジアのなどの
後進国と言われる国々を想像してしまう。
しかし、西欧諸国の今は先進国と言われる国々だって昔は子供は
働いてきたものだ。
日本はどうだったのだろうか。
私の記憶では、少なくとも昭和30年頃(1955年)までは、子供は
何らかの役割を持って働いていたように思う。
ここでは、私の体験の一部を順を追って書くことにしよう。
小学校1年生のころ。
朝、起床と共に鎌と籠を持って田んぼの畦に草刈りに行く。
どの田圃でもいいのではなく、わが家の田んぼ以外のところで
草刈りをすると叱られる。それほど草は貴重なものだったのだ。
今なら、草ぼうぼうで、誰かきれいに刈ってくれないものかと思う
だろうが、各農家が飼っている牛の餌として草は大切にされていた。
それほど持ち田畑が多くないわが家では、近場の田んぼから
遠方(家から歩いて15分程度の)田圃まで草を刈りつくしている
ものだから、そんなに草の丈が伸びていないので、短い草を
刈っても籠の中に溜まっていかない。
ある程度の草を刈らないと牛に与える餌として足りないので、
必死で刈り取りをする。
草を担いで家に帰り、大きな「かいば」(餌を入れる桶)の上に
押し切りを置いて、藁を切り、草を切り、その上に糠を混ぜ、米の
とぎ汁を掛けて混ぜ合わせて牛に与える。
そうしてから、朝食を食べ、学校に出かけたものだ。そんな経験を
していたのは、私だけではなく、多くの子供たちが経験したことでもある。
今の小学一年生で、そんなことをしている子供は一人でもいるの
だろうかとおもう。