中原武志のブログ

生きていくうえでの様々なことを取り上げます

面白い文章の紹介です(2)

私が書いたものではなく、いろんな方が書いた、面白い話、

役に立つ話などを少しだけ紹介していこうと思っております。

 名女優でもあり、名監督の松山善三さんの妻でもあった高峰秀子さんが

筑摩書房から「おいしいおはなし」というのを書いておられます。 

その中には多くの知人友人が書かれたものが収められています。

今日は、その中から宇野光雅氏の分を少し紹介します。

 「友よ、夜が明けたら、口をすすぎ手を洗い、さらにパンをのせねばならない。パンの上に火に焙った海苔をのせ、海苔の上にかいわれ大根を並べ、数滴の醤油を落とさねばならない。

 その後パンを2つに折り、ナイフでそれを少しづつ切って口に運ばねばならない。  中略

 あなたはシャリアピンという歌手をご存じだろうか。 中略  1936年、

日本にも来て大変な評判となったが、そのシャリアピンが帝国ホテル滞在中に、

独自の調理法によるステーキを伝えたため、今でも帝国ホテルのメニューにはシャリアピン・ステーキという名が残っている。   中略

 あなたは、ストーン・ブレイン博士をご存じだろうか。残念ではあるが、彼はシャリピアン程高名ではなかった。 日本に滞在して3冊の本を書いた。日本に帰化したいというのが口癖であった。

 先にあげたかいわれサンドイッチこそ、このストーン・ブレイン博士が愛好し、その調理法及び食べ方の作法を伝えられたものである。

 サンドイッチ公爵をご存じだろうか。いわゆるサンドイッチは、この公爵の名に由来するのであるが、その本当のことでさえ、本気にしてもらえないほど時間が経ってしまった。  中略

 かいわれと海苔によるサンドイッチをかいわれサンドと呼ぶのではなく「ストーン・ブレインサンド」と呼び、彼の名前を後世に伝えたいという私、いや(今や私たちと言ったほうが良い)我々の考えが判ってもらえるだろうか。

 私たちは,仮称「ストーン・ブレインサンド友の会」を組織し、後日、帝国ホテルに行く機会の度毎にこのサンドイッチを注文し、やがて我がストーン・ブレイン・サンドが正式のメニューとして登録されるまでこの会をつづけることを誓ったのである。   後略。