中原武志のブログ

生きていくうえでの様々なことを取り上げます

随筆自伝(168)私を守ってくれたのはだれなのか

 (イスラエルパレスチナ問題―その1-2)

 《ユダヤ人の定義》

  これは大変難しい。民族に関係なくユダヤ教を信じている人がユダヤ人という解釈もある。また、ユダヤ教徒の中にもアシュケナジースファラディの二つに分けられる場合もある。前者が約30%、後者が約40%を占めると言われる。アシュケナジーはほとんど都市部に住み、政治家、医師マスコミなど知識階級が多く、スファラディは砂漠などに住み労働者が多い。アシュケナジーユダヤ教の厳しい戒律をそれほど守らないのに対し、スファラディは厳しい戒律が生活の基盤になっている。

中世にはユダヤ人追放令が出たために離散がひどくなったのだが、ユダヤ教から生まれたキリスト教とあって、キリスト教徒によるユダヤ教の人々への弾圧はすさまじいものがあった。その中にあって、自分たちの身の安全を守るためにユダヤ教の厳しい戒律を守らず、キリスト教的な生活をする、いわゆる隠れユダヤ教になった人たちが「アシュケナジー」である。

 その一方、イスラム教は兄弟教のユダヤ教キリスト教も認め敬意さえ持っていたようだ。イスラム世界で住んでいたユダヤ人たちは弾圧されることなくユダヤ教の戒律を守った生活を続けることが出来たために、現在に至るまでユダヤ教の戒律や生活習慣を守りつづけることが出来たのである。この人たちを「スファラディ」という。

   《パレスチナ人とは??》

 先ほども書いたように、ユダヤ人より古くからこの地に住み、ユダヤ人が世界に離散した後の2000年の間はパレスチナ人の住む国だったのである。イスラムが勃興し、この地帯は巨大オスマン・トルコの支配地になる。

 《第1次世界大戦》

 第1次世界大戦でトルコが英国に敗れ、1922年この地は英国の委託統治領となったことから、現在の混迷を迎えることになった。

 その一方で、19世紀末から、それまで世界に離散していたユダヤ人の間で「シオニズム」(故国復帰運動)が高まって、世界各国からユダヤ人たちのパレスチナへの移住が始まっていた。パレスチナの人々もユダヤ人たちを快く受け入れた。トルコ、英国という外国支配の中で、パレスチナ人もユダヤ人たちも一見仲良く暮していた。しかし、3千年以上もの間、親代々の土地に住むパレスチナ人は「土地」に対する執着心がなく、一方世界に離散していたユダヤ人たちは強烈な「土地願望」があり、パレスチナ人たちから土地を買い取って、これを次第に「領土」とし始めたために対立が始まってゆく。

  《どうして「イスラエル」国家が出来たのか?》

  この問題の中に真実は隠されている。ある日突然のようにパレスチナ人が、住んでいる場所を追われ、国を失った。どうしてこんなことが起こったのだろうか?

地図を見るとよく分かるが、イスラエルの周辺は、トルコ、イラク、エジプト、ヨルダン、サウジアラビア、イラン、クエート、レバノン、・・・どこもかしこも周囲全部がイスラム国家である。そのイスラム圏のど真中に突如として現れた「イスラエル」が今世界の発火点となっているのである。

  《イスラエル国家成立とキリスト教諸国の企み》

 詳しく書くスペースがないので大急ぎで書き進める。第2次世界大戦後の1947年、国連はアメリカ主導でパレスチナ分割案を採択した。当時パレスチナ全土の人口は190万人でユダヤ人は3分の1以下の人口だったにもかかわらず、この分割案は全土の6割をユダヤ人側に当てると言うものだった。エジプト、シリア、ヨルダンなどのアラブ諸国は、この案が実施されたら戦争も辞さないと警告したが、ユダヤ側は、1948年5月14日、一方的に「イスラエル国家成立」を宣言した。

 「昔この国は俺達のものだった」という理由で復帰運動を起こした。このシオニズム運動によって、ユダヤ民族は計画的に大挙してパレスチナ移住をしていたのだが、三千年間もこの地に住んでいたパレスチナ人たちはそれに気付くことがなかった。ユダヤ人たちの移住数を書いてみよう。1882年―1925年までの43年間に約15万人。1926-1935年までの9年間に約20万人、1936-45までの9年間に15万人が移住してきている。これらの大挙移住が、やがて国土、国家を奪い取ってしまうことになろうとはパレスチナ人は考えてもいなかったようである。1048年の独立当時は60万人だったイスラエルユダヤ人は独立後1年半後の1950年には100万人を突破している。

どうしてイスラム諸国の中にユダヤ人の国を作ることが出来たのだろうか。イスラム国家の増大化を恐れたキリスト教諸国がイスラム諸国のど真ん中に「クサビ」として打ち込んだのが「イスラエル」すなわち、ユダヤ人国家である。クサビとしての効果以外にも理由がある。ヨーロッパ各地に分散するユダヤ人達の取り扱いに各国ともに手を焼いていたこともあってユダヤ人たちに「故国」を作ってやればこれらの問題が解決すると考えたからでもある。これは表向きの理由でもあり、正しいのだが本当はもっともっと深い国際戦略が隠されているのでいつかそれを書くことにしよう。

  《世界は人脈が絡んで動いている》

  歴史を軽視する人たちがいる。過ぎ去ったことだと思っているらしい。そういう部分もある。しかし、何百年と、脈々と人脈が繋がっている事実も真実である。特に今の世界を動かしている人たちのほとんどは「過去と繋がった」人たちなのだ。それを知るには、」広瀬隆著の「赤い楯」(1)-(4)=集英社「私物国家」=光文社「予言された21世紀」集英社 /「パンドラの箱の悪魔」NHK出版/「地球の落とし穴」NHK出版/「世界石油戦争」NHK出版などが詳しい。これらの本には人脈が詳しく書かれていて説得力がある。丁寧に読み進まないと理解が難しいかもしれない。