中原武志のブログ

生きていくうえでの様々なことを取り上げます

「原発」に隠されたうそと真実(1)

 原発事故が起こって4カ月以上が経ち、多くの国民は収束に向かって
いると安心し、あれほど騒いだ原発事故も福島県以外では、節電に
懲りて原発があってもいいんじゃない」と思っている人もいるようだ。
「喉もと過ぎれば熱さ忘れる」喩のように、人の心も冷めやすいのか。
 そこで、事故後ではなく、ずっと以前から原発の危険性について指摘し
続けてきた著者の書いた本を抜粋して書いてみようと思う。専門家の中でも
原発推進に邁進してきた人たちは、原発関連資金をがっぽり懐に入れた
人が多いが、危険を指摘し続けてきた専門家たちの懐にはそのような金は
入っていない。
 金につながっている人たちの「絶対安全」は、とても信じられないが、金に
縛られないで自由な立場でいる人の話は信頼できると思う。
 今回は、小出裕章氏の「原発のウソ」(扶桑社新書)の内容を紹介しよう。
関心をもたれた方は、ぜひ購読していただきたい。
 原子力発電所と言うが、火力発電と原理には変わりはなく、水を温めて
沸騰させた蒸気でタービンを回すだけのことである。お湯を沸かすのに
石炭や石油を使わないで、核分裂による熱を利用するのが、原発なのだ。
 同じ原理なのに、火力発電所東京湾、伊勢湾、大阪湾にずらっと並んで
いるのに、原発だけがどうして大都会から遠くに設置されているのだろう。
 答えは簡単で、読者の方も気がついておられるでしょう。「危険すぎる」
からにほかなりません。
 どんな危険があるのかは、今回の原発事故を見ればわかるように、一旦
事故が起こったら周辺に多大な被害が及ぶからです。絶対安全なら大都会
周辺に作ってもよいはずなのに、遠く離れたところを選んで作った理由は、
「絶対危険」だと言うことが分かっていたからなのです。
 ウランを燃やす核分裂によって「死の灰」が作られます。日本の原発
これまでに作られた死の灰は、すでに広島型原爆120万発に相当します。
減衰していることを計算しても、80万発分の死の灰が、日本中におかれて
いると言う事実があります。原爆を作ろうと思えばいつでも大量の原爆が
製造できるだけに、世界は日本の原爆製造を恐れているというのも事実
です。だからこそ再利用計画が騒がれるのですが、これは理論上では可能
であっても、現実的には「金食い虫」になっています。
 死の灰は、処理できないまま日本中に放置されていますが、安全処理できる
「墓場」がないのです。
 原発では地球温暖化で騒がれている、二酸化炭素は発生しないのでしょ
うか。これまで「発生しない」と言われ続けていましたが、これは真っ赤なウソ
だったのです。
 確かにウランを燃やして核分裂させる「発電時」には二酸化炭素を出さない
のですが、ウラン鉱石を精製しますが、燃料に使えるウラン235は全体の
0,7%しかありません。それを濃縮し、燃料として使えるように加工するまでに
膨大な化石燃料を使いますから二酸化炭素を排出しているのです。
もちろんウランの採掘、運搬にも多くの化石燃料が使われています。
 標準的な原発Ⅰ基で300万KWの熱量が発生していますが、その内の
3分の1だけが電気となります。残りの200万KWの熱量は海へと流されて
いるのです。冷却のために引きこんだ海水はⅠ秒間に70トン。その海水が
海水温より7度も引き上げられて海に戻されます。これだけ大量の海水が
絶えず7度も引き上げられていると言うことは、自然に大きな影響力を与えて
いることを表しています。
 原発は「原価が安い」と、これまでさんざん聞かされてきました。
それらが全部ウソだったのですから驚きです。
一覧にすると(KWH単位)
 * 一般水力発電      3・89円
 * 一般水力+揚水     7・26円
 * 火力発電         9・90円
 * 原子力発電       10・68円
 * 原子力+揚水      12・23円
 * 揚水発電        53・13円
揚水発電など聞いたことがないでしょう。原子力発電以外の発電は
調節ができますが、原発は24時間フル稼働する仕組みになっています。
どうしても電気が余ってしまうので、それを消費するために揚水発電
と言うものを設けるのです。夜間に下の池から上まで揚水して、昼間に
下に落として発電すると言うものですが、エネルギーを30%ロスする
というものです。
 もちろん、どんなにロスしても電力会社は損はしません。すべてを上乗せ
して消費者にかぶせていればよいのです。
 日本の電力はと世界の比較。
次の表以外に、日本の電力は安いというグラフもあります。
高い国ばかり選んで掲げると、日本は安くなり、安い国ばかり
選んでグラフを作ると高くなる。データーとは不思議なものです。
ここでは、日本経済が脅かされていると言うう台湾や韓国の
数字に興味深いものがあります。豪州などは、もっともっと安いのです。
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(出典; IEA、但し比国のデーターは除く)