中原武志のブログ

生きていくうえでの様々なことを取り上げます

天災から守るための知恵と努力

この度の地震津波は未曾有とも言える規模で、少々の備えがあっても
被害を防ぐことはできなかっただろうと思う。
天災は忘れたころにやってくるとは、まことに格言である。しかし、人間と言う
ものは、せっかく作った格言を忘れてしまうものらしい。
 
嫌なことや、辛いことはさっさと忘れて、次へのステップに踏み出す方がよい
のだが、忘れてはならない教訓もあるのではないか。
 
今の若い人たちは、全く知らないだろうし、私の年代でもあまり知らない人が
多いと思うが、神戸には昔から水害が何度もあり、多くの犠牲者を出してきた。
近い年代で、最も多くの被害があったのは、昭和13年7月3日~5日にかけての
水害で、死者616名と言うから半端じゃない犠牲者数である。
水害による家屋の損害は、なんと 89,715戸に及んでいる。
 
神戸の水害の原因は、六甲山降った大量の雨が急斜面を駆け下りてくることで
起こる。昔の六甲山は今のように木々が豊かに生い茂っていたわけではなく、
はげ山同然だった。
明治期から植林を繰り返して現在の緑豊かな山に育ったのだ。
私は30年も以前に、はげ山だったころの六甲山の写真や、植林が進み年々木々が
増えて行く様がスライドになっていて、幻灯機で観たことがある。
あのようなスライドを今の小、中学生たちに見せて、災害と予防の教育に使って
欲しいものだ。
 
神戸の水害を防いだのは植林だけではない。生田川を付け替えたのだ。
現在、納町4丁目から直ぐ東に狭い道が新神戸近くから三ノ宮駅まで南北に
通っているが、あの道は川の土手だったところだ。
現在の川は新神戸駅付近から真っ直ぐ海に向かってのびているが、この川の
付け替え工事で水害がなくなったと言ってよいほど改善された。
 
孫が通っている塾では(娘の聞き違いかもしれないが)警報が出た場合、風が強ければ
休みなさい。雨なら出てきなさいと教えられていると言う。
そこで私が言った。「それは間違いだ。風よりも雨の方が怖いのだよ」と。
水の怖さをもっと知った方がよい。台風でも、風ではそんなに死なないが、水では多くの
命が奪われる。
 
今回の場合も、地震による「圧死」より、津波による「水死」の法が多かった。
津波と言えば、過去にも何度も襲われている。経験が積み重ねられ、情報も豊かな
地方で、これまでと同じ場所で、同じような被害に遭っている。
何故なのだろうか? 土地を離れられないという愛着心はよく理解できるが、だからと言って
命や全財産を一瞬にして奪われる場所にとどまり続けることには、疑問を感じる。
規模は違っても、必ず何度もやってくることは確実なことなのだから、今度こそ同じ轍を
踏まないようにお願いしたい。
歴史に学ぶというシリーズをJAニュースに書いてきた(好評だった)が、津波などは、
まさしく歴史に学ばなくてはいけないのではないだろうか。
「歴史に学ぶシリーズ」は、HPに掲載してあるので、興味のある方は、覗いてみて下さい。