宮本輝さんの「流転の海」の第1部が出版されたのは1984年だった。
当初、5部で完結で10年の予定と書かれていた。
第2部の「地の星」が出たのは1992年11月で、この時の「あとがき」に
85歳の女性から、「早く書いてくれないと私の命がありません」と読者から
催促されている事情が書かれている。
第3部「血脈の火」が出版されたのは1996年9月だった。
第4部の「天の夜曲」が出版されたのは2002年6月だったが、この第4部の
あとがきには「こんなに長い期間かかるのだったら、初めから読み始めなかった。
これじゃ詐欺じゃありませんか」と、多くの読者から苦情が寄せられていると
書かれている。
第5部「花の回廊」が出たのは2007年7月で第4部から5年もあとに出された。
第6部「慈雨の音」は、2011年8月の出版でこれも第5部から4年後だった。
第7部「満月の道」は、2014年4月出版だった。
実は、私たちも他の読者同様に、もっと早く出してくれ!!と心の中で叫んで
いたし、妻と何度もそのことを話し合ったものだった。。
第7部が出たときに、第1部からの、ああしてこうしてこうなって・・・というあらすじ
は覚えているものの、もう一度最初から読み直したいとおもい、第1部から第6部
まで通して読み直したが、各部が450ページを超えるものだけに私の歳では
なかなか厳しいものがあったが、2度目なのに小説の中に引っ張り込まれるのは
やはり宮本マジックというほかあるまい。
6月30日に第8部「長流の畔」が出版されることを知って予約注文をしておいた。
第9部で完結の予定だそうだが、第9部が出るまで生きておられるかどうか、
全く自信がない。
第1部から32年を経ている、それでも待っている読者が辛抱強いのか、読者を
そこまで引っ張り込んでいる著者がすごいのか。
宮本輝親子の実話に近い物語なのだ。
図書館で借りてぜひ読んでください。お勧めの本です。