中原武志のブログ

生きていくうえでの様々なことを取り上げます

酒を飲める人がうらやましい(2)

 私の祖祖父は超お人よしだったらしい。
 その上に大酒のみだったので、田畑をタダ同然で失っていったようだ。
 だから「そんちょうさん」というあだ名がついた。
 親父の兄弟が11人もいたので、私もその中の一人と間違えられる
 ことが多く、そょんちょうさんの孫と言われたが、そう言っている人も
 そんちょうの意味が分かっていっている人はもういなかったに違いない。
 同級生から「お前のとこは村長だったのか」と聞かれたこともある。
 そんちょうさんの意味は「損長」さんだったのだが、事情を知る人は
 もういなくなっていて、その意味を知ったのは祖母から聞かされたから
 である。
 そんちょうさんは、祖祖父なのだが、私はあったことがない。
 祖父も酒飲みだった。祖父も酒に飲まれるタイプで、集落の集いの
 帰りに水田にはまったことも何度かあったが、祖父は「あそこの田んぼ
 には狐が住んでいる」とか狸にだまされたとか言い訳をしていた。
 酒に酔うと歌舞伎の声色(こわいろ)だとか、浄瑠璃の声色をするのが
 得意だった。
 酒によって「痩せても枯れても中原清吉、近衛連隊上等兵」と叫ぶのが
 癖だった。近衛兵であったというのが、生涯を通じての自慢だった。
 当時、(天皇の)近衛兵には町で一人選ばれるかどうかという時代だった。
 父も同様に大酒のみだった。
 そして酒に飲まれるタイプだった。
 父の弟の中に大酒のみの人が一人いて、戦後に中国の海南島から帰国
 したが、行く末を案じたのだろう酒におぼれていた。
 そのような人たちを見ていて、私は絶対に酒は飲まないぞと心に決めた
 のだった。
 (続く)