夕食を終えて、しばらく妻と語り合った。
私の15歳から18歳までの不思議な出会いについて
語った。
10月1日の天神祭の日に、淡路島から神戸に出た。
勤め先に無断での出奔だった。 神戸の中央児童相談所
の看板を見て入った。わたしの相談にのってもらえると思った
からだった。 ところが事情も聴かないで、連れ戻された。
私は、翌日にまた神戸に行き、こんどは中央職業安定所へ
行って、灘区水道筋3丁目にある店を紹介されて住み込みで
はたらいた。 そこから、二度にわたる不思議な巡り合わせで、
大阪の日本ケースで働くことになった。角田さんという素晴らしい
雇用主にであっていなければ、その後の私の人生がどうなったか
想像もできない。 分け隔てのない待遇の中で、一年間に15センチも
体長がのびたものだ。 3年前の10月の日記に角田さんへの感謝を
記してあるのをみた。「角田さんのご恩を忘れられない」とかいてある。
もう70年前の、わずか1年のことだが、その時に受けたご恩を忘れない。
86年間も生きると、いろんな出会いがあるものだが、どの出会いも、
不思議な縁で結ばれているようにおもえる。 私の印象では、戦国時代の
武士たち(たとえば秀吉のような)が、出会った縁で人生が変わっていった
ようにだ。 レールのない人生だったから、すべてを自分で決めて来たの
だが、それさえも、定めだったのかもしれず・・・人生とは不思議だなと、
今さらのごとくかみしめている。 これまで出会ったすべての方たちに
感謝をこめて御礼を申し上げたいのです。