中原武志のブログ

生きていくうえでの様々なことを取り上げます

日常が元に戻る日はいつなのかを考えよう(4) ワクチン 2

    4月3日に100万人だった世界の感染者は、10~13日間で100万人ずつ増え、

5月31日に600万人になった。

ところが700万人、800万人までそれぞれ8日間しかかからずペースが速まって

いる。  ワクチンが待たれる所以でもある。

 そんな折にわが日本の総理大臣は「すごく早ければ、来年ぐらいには接種

できるようになるかも知れない」 と見えを切った。 ほんまかいな???

 安倍さんのいうことはいつも「スピード感」であって、スピードはないし、これまで

約束を守ったことはない。 その顕著なのがPCR検査についてである。 いつもだが

見えを切った内容とかけ離れてい過ぎて、遂にはみずから「どこかで目詰まりして

いるようだ」とまで言った。  総理の発言だけが「先走り」していて、いかにも直ぐにも

できる、やっているような錯覚を国民に持たせながら・・・実は何も実行されていない

のだ。 安倍首相は嘘つきなのが、軽すぎるのか???  あまりにもそれが多すぎて、

国民も慣れっこになっているのか・・・なにを嘘つかれているのかさえ・・分かっていない

人が多そうだ。 安倍さんの言うように、世界的に先陣を切る米バイオ企業モデルナの

ワクチンについて、年末ぐらいには接種できるようになるかもしれない」というのは期待

感であって・・やれると言っているのではない。いつものように彼の妄想から来ている

発言だと思わないと、失望することになるので、ご用心を。

 ワクチンの実用化には安全性と有効性を確認する審査が欠かせない。 新型コロナ

の治療薬候補の抗ウイルス薬「アビガン」を巡って首相が「5月中の承認を目指す」・・と

前のめりな言及をしながら果たせず、今も有効性の確認が続いている経緯もあり、厚労

省側はワクチンについても「首相の気合だけででできるものではない」と警戒している。

  さて、昨日の続きの本論に入る。 

現在、米国や中国を中心に複数の企業がワクチンの開発を進めている。開発中の

ワクチンの種類は多岐にわたるが、その多くは、病原体である新型コロナウイルス

一部を抗原としたワクチンだ。

その中でも、細胞に感染するために必要となる、ウイルス表面に発現したスパイク(S)

タンパク質という部分を、抗原として利用する研究開発が盛んだ。

既に幾つかのワクチンでは、実際にヒトに投与して、安全性や有効性などを検証する

臨床試験が始まっている。

 ヒトへの臨床実験が始まっているのは中国での6研究、アメリカでの4研究、イギリス

での1研究、ドイツでの1研究となっている。日本は残念ながら、かなり出遅れていると

いう感じだ。 順調に進んでいるようにみえるワクチン開発だが、実用化に向けた懸念も

おおい。その1つが、ワクチンの接種などにより起こりうる「抗体依存性感染増強(ADE)」と

呼ばれる現象だ。

本来、ウイルスなどから体を守るはずの抗体が、免疫細胞などへのウイルスの感染を

促進し、その後、ウイルスに感染した免疫細胞が暴走し、あろうことか症状を悪化させて

しまうという現象なのだ。 ADEの詳細なメカニズムについては明らかになっていないことも

多い。ただこれまでに、複数のウイルス感染症でADEに関連する報告が上がっているし、

動物実験でADEが発生している。

 例えば、コロナウイルスが原因となる重症急性呼吸器症候群SARS)や中東呼吸器症

候群(MERS)に対するワクチンの研究では、フェレットなどの哺乳類にワクチンを投与した

後、ウイルスに感染させると症状が重症化したとの報告があり、ADEが原因と考えられて

いる。

 また、ネコに感染するネココロナウイルス感染症でも、ウイルスに対する抗体を持った

ネコが、再び同じウイルスに感染することで重症化するとの研究報告がある。ネココロナ

ウイルス感染症の研究に取り組む、北里大学獣医伝染病学研究室の高野友美准教授は、

そのメカニズムについて、「抗体と結合したウイルスが、抗体の一部分を認識する受容体を

介してマクロファージに感染する。すると、マクロファージは症状を悪化させる因子を過剰

に放出し、結果的に症状が悪化してしまう。抗体の量が中途半端であると起こりやすいと

考えられているが、どのような条件で起きるのかはよく分かっていない」と説明している。

高野准教授らは、ネココロナウイルス感染症に対して、抗体が関与する液性免疫を誘導

することなく、細胞性免疫を優位に誘導するワクチンの開発に取り組んでいる。

高野准教授は、「新型コロナウイルスでADEが起こるかどうかは明確ではないが、細胞

レベルの実験で検証できるはず。既に検証している研究者がいてもおかしくない」と

おっしゃっている。また、「細胞性免疫を誘導するワクチンの開発は、(ADEを防ぐための)

1つの手段になり得る」(高野准教授)という。

 新型コロナウイルスに関する米国の研究報告では、「ウイルスのSタンパク質のうち、

感染において特に重要な役割を担う一部の領域をターゲットにしたワクチンを開発する

べき」などと指摘し、加えて、「Sタンパク質に対する不完全な免疫(抗体)が誘導されれ

ば、ADEが起こる可能性がある」と警鐘を鳴らしている。 ここらあたりが、われわれ素人

にはわかり難い。

  海外に後れを取っているものの、一部の国内企業も開発に乗り出している。

日本製薬工業協会(製薬協)の中山讓治会長は、「ワクチンの研究開発では、政府が

かなりの特例を出したとしても、有効性と安全性を科学的に検証した上で提供する

必要がある。大変悩ましいが、実用化までに1年以上かかるのが通例」と話す。

世界各国で、急ピッチで研究開発が進められているが、安全性の検証は避けては

通れない。新型コロナウイルスでも浮上したADEのリスクとどのように向き合うか、

今後の研究に注目したい。