海の水温が上がるだけで、気象が大きく変わってくる。台風も海水温が
低ければ発生しないし、海水温が高くなれば多発する。理屈でが分かっている
ようでピンとこない。海水温がエネルギーとなって台風を作る。ヤカンのふた
を外して観察すると、なるほど・・と思う。
インド洋と言っても日本人にはあまりなじみがない。太平洋とか大西洋は
よく知られているが、インド洋なんて小さい・・ものだと思っている人も
少なくない。 私は豪州・パースに14年間住んでいたので、目の前に見える
海はインド洋だった。住宅の広告に「アフリカまで見えます」というのがあった。
地球は丸いのでいくらなんでも・・アフリカが見えるはずもない。インド洋は
とても広大なのだ。
そのインド洋に、エルニーニョ/ラニーニャ現象と同じように、西部と東部の
海面水温がシーソーのように変動することが知られていて、これを「インド洋
ダイポールモード現象」(Indian Ocean Dipole)と言います。
このダイポール現象が、豪州の気温を上げ降水量を下げて森林火災の要因と
なっているのです。インド洋ダイポールモード現象は日本の天候にも影響して
います。インド洋西部で海面水温が高い場合、雲が通常よりも活発に発生し、
上昇気流が強められます。この強い上昇気流はユーラシア大陸を西から東に
流れる偏西風の流れを変え、偏西風は日本の北側を流れやすくなるのです。
偏西風が日本の北を流れると、暖かい空気が日本列島を覆い、全国的に
気温が高くなります。この冬が暖冬なのも、そのためです。豪州の森林火災
は自然現象でありながらも、人が多く住むようになった現在では、人命に
危険が及ぶようになりました。 何百度という温度になって、種がはじけて
自然が回復するというようなことが繰り返されてきたユーカリの森なのですが、
今回の森林火災では、土の中で千度以上の高温が記録されています。巨大な
蟻塚が燃え、木の根っこまで燃え尽きているようです。 自然というものは
恐ろしいですね。 しかし、これが二酸化炭素などによる地球温暖化のせい
なのか、地球の自然現象なのかは、分からないようです。